中古

「紅乃落ち着いたか。」

何故だかさっきまでものすごく号泣していた。今は曲をヘッドホンで聴かせているから落ち着いた。

「…この曲嫌。助けて。また捨てられるの。嫌だ。」

また不安定になる。まあ飛ばせば良いんだが何があったのか。服の隙間から色んな文字が刻まれてあった。

「なあ。なんか文字があるけど。」

不思議に思えたから聞いてみた。この事になんか関係しているのだろうか。

「なんで見るの。そんなに中古が嫌なの。ねえまたゴミ捨て場に行って雨に濡れるの。なんとか言ってよ。」

凄く激怒していた。今までにもないくらい。

「落ち着いて売らないし捨てない。」

すると次第に落ち着いてくる。

「…あのね。…私は中古じゃん。だから…一回だけ売られた。…スクラップにされるところを抜け出してきた。」

紅乃は、少しだけ落ち着いてきた。

「それで…ゴミ捨て場に行って…雨に打たれた…もしかしたら…拾ってくれるかな…って。そしてあそこの店主に…拾われた。あのごめんなさい…ほかのベース弾かないでていったの…あれはもう…他の楽器が、欲しくならないようにしてただけ。」

「なるほどね。」

やっと理解したなんで意味不明な説明書があるか。

「こんな…我がまま言ったから疲れたよね…うんどうぞ売るなり捨てるなり燃やすなりして。だってこんなに呼び名があるんだよ。」

肩と肋骨には色々な名前があった。

「売らないし捨てないし燃やさない。なに中古だから何。新品よりも良いよ。」

紅乃はだいぶ落ち着いたようだ。

「あのね注文があるんだけど…名を消して。」




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