第26話
「小牧、醤油取ってくれ。」
「はい。どうぞ。」
「ありがと」
俺の停学が始まってから3日が過ぎて今日で4日目。今は朝ごはんを2人で食べている。
今日のメニューはご飯、ベーコンエッグに味噌汁、そして卵焼きだ。
小牧が朝起きてから作ってくれたようで俺を起こしてくれた頃には温かいご飯ができていた。
あぁ朝起きたら温かい朝ごはんが食べれるなんて幸せだ...いや、落ち着け俺。このままでは完全に小牧にお世話させられている。
昼ごはんくらいは作ってやろうと思う。
さて、何作ろうかな...
「...ておい!」
俺は自分の考えていたことが何のことだったのかを理解して机を叩いて立ち上がった。
「お前、いつになったらとなりに帰るんだよ!結局昨日も一昨日も平然と泊まって普通に朝起きたら俺の布団で寝てるっておかしいだろ!!」
俺はここ2日最早日常と化していた出来事に今更ながらに気がつきいよいよつっこんだ。「今夜は...帰りたくないの...」
「今夜じゃなくて毎夜の間違いだろ!おまえの家の親御さんはどういう見解なんだよ!?」
そう。こいつは一人暮らしではない。隣の家には普通にこいつの親が住んでいる。それも含めてよくこの休学と俺の家への3日のお泊りを許したと思う。
「ああ、そんなこと?私の親なら大丈夫よ。今度一緒に挨拶しにいきましょう。」
「そういう話はしてない!」
俺は立ったまま話を聞くのがもどかしくなり椅子に座り再び箸を動かした。
「まあ、簡単に言うとうちの親は自由なのよ。だから私の泊まりも休学も私が必要って判断したって言えばさせてくれるの。」
「随分と人の出来た親御さんだな。」
俺の親とはまた違う感じがする。
俺の親は自由は許してくれるがその分やることはやらせるし友達が停学になったからしばらく一緒に休学したいなんていったらぶん殴られる。というか前者はともかく後者を許してくれる親なんて聞いたことがない。
「そんなことないわよ。成績が良い上での話だし自由すぎて学校から帰ってきたら置き手紙に母はグアムに行っていきますとか書いてある時があるのよ?」
グアムって...そんな置き手紙1つで済ますような場所じゃないだろ...。
つっこむ気も薄れた俺は残りの味噌汁を飲み干して立ち上がった。
「わかったよ...もう休学期間は家にいてもいいから。」
「ほんと?」
「ああ、もうお前を追い出す気も失せた。」
「ふふ、嬉しいわ。私、神野くんのそういうなんだかんだでチョロいところ、好きよ。」
チョロいって...それは全く褒め言葉には聞こえない。
「それは褒めているのか?」
「ええ、もちろん。ただ、私以外にはチョロくしなくていいからね?」
「へいへい。」
俺が完璧にこいつとの同棲を認めたのであった...。
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