第25話
「じゃあ、お休み。」
「お休みなさい。」
日付が既に変わった頃、俺たちは眠りについた。俺は二階の自分の部屋。小牧は一階の和室に布団を敷いて寝かせることにした。
二階にも空き部屋があったのだが、俺の部屋の隣なので何をしてくるか分かったものじゃない。最後に俺のベッドに潜り込むなよと念を押して俺は自分の部屋に入り、タオルケットを被って眠りに入った。
俺は不意に目を覚ました。
まだ部屋の中は暗い。おそらくまだ深夜なのだろう。
「んぅ...」
ん?
俺は数秒硬直した。
右手には少し小さいが丸みを帯びた柔らかい感触。
左手には暖かいが細くさらさらとしたものが絡まっている。
そう。右手は胸。左手は手のひらである。
もちろんそれは小牧のであった。
「...!!」
そこまで気づき俺は狼狽した。
何で俺の部屋にいるんだよ!!入るなっていっただろうが!!
俺は小牧を起こそうと一度体を離そうとしたが動かない。小牧が完璧に俺を左腕でホールドして話さないからだ。
右手は小牧の胸部に触れて、左手は小牧の右手と恋人つなぎのようなつなぎかたで繋がれている。
引き剥がせない...!
俺は一度頭を冷やそうと目を閉じた。
...まてよ。これよくよく考えたら今小牧が起きたら俺が小牧が寝ている間にセクハラしたってことにならないか?
俺はこの体勢を客観的に想像してみる。
...うん。右手で胸触ってる自体でバッチリアウトだわこれ。
どうしようか...たしかに布団に潜り込んできたのは小牧だが胸を触ってしまったらまた別の話だろう。
ていうかそろそろやばい...冷静さを保てない。
お、俺おっぱい触ってんぞ...!や、柔らかい。小牧のは山上より小さく見えるがそれでも小ささの分触り心地は...
おい。俺は何を考えている...!
俺はジタバタと体を動かす。
ええい!こいつが起きる前に胸から手を離してしまえばバレない!胸は勝手にベッドに潜り込んできた代金だと思いながらありがたく触っておこう。
俺はこのままでいるのも理性が持たなそうなので無理やりでも小牧から離れようと体をジタバタさせた。
「んぅ...?」
小牧はそんなジタバタに気がついたのか俺をホールドする力を強めてきた。
「...!」
顔も胸に当たる。
やばいやばいやばいやばいぃぃ!!
更に状況が悪化した。
「んぅ...離れちゃ...ダメ...今日はこのまま寝るわ...」
アホか!寝言なのか意識が覚醒したのかは知らないが小牧が呟いた。
俺、お前のおっぱい揉んでんだぞ!?
このまま寝ろとか!明日、いや今日か、とにかく寝不足になったらどうしてくれんだよ!!
その日の夜は結局眠れなかった。
次の日は右手に残る幸福感と頭をちらつく寝不足で課題に集中できなくなった俺であった。
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