多重人格な私

れんぎょう

第1話  何故?私が?

いつもの職場の朝礼。

突然、頭の中で、数千匹のどぶねずみが洪水のように暴れ回る。ワシャワシャ、ワシャワシャと音が聴こえた気がした。


同時に。

あっ、私、倒れる…上手く倒れないと、頭を庇わないと大変かも。


コンクリートの床。汚いな。不思議と冷たさは感じない。

身体はすぐには動けない、目も開けられないけど、なんとか意識は保っていられる。




同僚に支えられて、大学病院へ。

内科。脳神経外科。精神科を受診。


たらい回しの最後に運良く?精神科の医師と会話をすることができた。


最近の体調や生活の様子を話し、医師から告げられた病名は、「解離性健忘症」。

健忘症⁇ボケが始まったんかな?なにやら、忘れっぽいのはそのせいか?と漠然と思う。


後から知った。解離性障害が病名の前についていた意味を。


医師からの宣告。仕事の継続は不可能とのこと。

でも働かないと、子供達を養っていくことが出来ない現実。これからどうやって生きていけばいいの?一体何が自分の身に起きているのか?

ただでさえグチャグチャな頭の中が、さらに混乱する。


薄暗い病院の帰り道、バス停までの道のりが現実味をなさない。不安に飲み込まれそうになり涙が止まらない。


左側の耳元で、誰かが話しかけてくる。

「これから、どうしようね。」

路上でひとり、目に見えない人の存在にゾクッとする。


職場にもどり、医師からの長期間療養が必要との診断書を渡す。


心臓が速くなる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る