第3話

まず最初に錬金術師を囮にして逃げる…は却下だ俺はそこまでクズじゃない


助けが来るまで耐え切る…そこまで人生甘くない、誰かが来るなんて言うことはまずないだろう


普通に戦う…まぁ勝てないだろう武器の問題もあるしな…


とか考えているうちに熊はもう木の下にいた


しかし熊は登る様子もなく手を振りかぶって


木を殴ったいや引っ掻いたと言ったほうが的確だろう


すると木は殴られた衝動で振動が伝わり落ちそうになる


「くそっあぶねぇぞこの熊野郎が!」


言葉がわかるはずもないのに俺はそう文句を垂れていた


「…このままだと木が倒れて私たちが食われてしまう…」


「は?な訳…」


木の幹を見てみると人間の頭ほどの穴が抉り取られていた


「クソ!」


人間がなにをしてようが構うものかと木を殴る


すると木からいやな音が立ち徐々に木が傾いていた


「おいおいこりゃ冗談じゃねーぞっ!」


錬金術師の体を持ち上げて隣の木に飛び移る


「きゃっ!」


錬金術師がそんな声をあげるが関係ない


俺は木の上を飛び移り続けて熊と距離をとった


そして弓を構えて熊のいた方向に撃つ!


しかし案の定矢がよろしくないので見当違いの方に飛んで行ってしまった


「錬金術師!矢を大量に作れ!」


「っ!わかった」


《錬成》


《錬成》…


作られたのは十本ほどそして一つの矢尻は鉄でできていた

その鉄の矢尻には何かが塗られていた


「この鉄のやつは…」


「毒草を塗った、矢尻は私の短剣だ」


「毒…」


「鉄を錬成すると魔力がゴッソリ持ってかれるから、私はもう役に立ちそうにない」


「そうか…じゃ俺が熊野郎とやっとくからお前は逃げろ」


「…お前を置いていけと?」


「あぁそうゆうことだ二人とも死ぬ必要はない熊と対峙した時一番生き残りやすいのは俺一人で熊と対峙することだ」


「…すまない」


「さっさと逃げろ」


錬金術師は街の方へと走り出す


そして俺の前には熊がいた


「さぁ!やろうぜ熊野郎が!」


弓を弾いて熊の頭を狙う


しかしその矢は頭には刺さらずに弾かれた


「固えなこのやろう」


熊は俺のことを目掛けて走ってくるその速度は普通の人間よりも遥かに早いだろうしかしそれは直線状でだ


弓のいいところは相手の攻撃の範囲外での攻撃が出来ることつまり接近しなくてもいいところだ


騎士道で言う卑怯なこともできる



俺は森の中を縦横無尽に走りまくる…なんで言うことはできない

それは体力の関係であるさっき走ったばっかりだから走れなくなってきている


そんなことは構わずに熊は追いかけてくる


熊が追いかけてくる時、腕、胸、などを攻撃しても全て弾かれる


どんどん攻撃していくうちについには鉄の矢一本だけになってしまった


俺は満身創痍で体力疲弊なのに対して熊は体力万全でノーダメージだ


しかも俺には鉄の矢と不格好な弓だけ…


死ぬなこりゃ


でも俺は死ぬ気はねぇ


今日は薬草結構取れた…あ?


自分の背中を見てみると薬草を入れていた袋がなかった


…今日の頑張りが…


『グァァァァ!』


「うるせぇよ!お前のせいで今日は酒を一杯できるはずだったのによ!」


俺は狙いを定める狙うのは眼球


神経を尖らせる


空気…匂い様々なものを感じとる


「ふぅ~」


呼吸を止めを弓を引く


「ふぅ……」


熊の動き…速さ…風向き…


余計なことは考えず思考をクリアにする…ただ的を打つだけだ


……見えた!


矢を撃つと熊の眼球に吸い込まれるように突き刺さる


『グァァァァ!」


目に突き刺さった矢から血が滴り落ちる


俺は腰につけている短刀を抜き


熊の死角から首元を狙って振りかぶるが


熊も目をやられるとゆう異常事態で身の危険を感じたのか暴れ出してただ振り回していた手に俺はぶつかって数メートルも先の木まで飛ばされた


「がぁ!…こんなの想定外だぞ熊野郎が…」


熊は自分の目の前にいる男が脅威だとそう判断し一刻も早く殺そうとした


それまで全力ではなかった熊が全力を出す


体はさっきまでとは比べほどにならないほど膨れ上がり俊敏さを増して男を喰らわんとした


「ぬぉぉ!」


かろうじて反応ができたが元いた場所はえぐれていてみる影もない


俺は潰れた左目の方の死角へと走り出した


逃げるためだ


しかし走ろうと思っても走れない


左足が避けた時に捻挫したようだ


「クソが…」


勝利を確信したのか熊はさっきとは違いゆっくりと歩み寄ってくる


そして俺の左腕に噛み付いてきた


そして殺すつもりがないの痛ぶって食うつもりなのか徐々に噛む力を上げてくる


「ぐぁがぁぁぁ!タダで食われると思うなよ!」


俺は左目に突き刺さっている矢を深く突き刺しそして引っこ抜いた



すると噛む力が強くなりベキベキと腕が嫌な音を立てる


俺はあまりの痛さと出血により意識が朦朧とする中で地面が揺れるほどの大きな揺れを感じるのと同時に意識を手放した


ーーーーーー


「おいおいおい!!大丈夫か弓使い!!おい!錬金術師!」


男は驚いた目の前にできた惨状に

木はえぐれていて血があたりに飛び散っている

そして熊の眼球をえぐられた死体と腕が血みどろで地面まで滴りたい落ちるほどのもの


そしてその顔は連日街の門で出会う冒険者でそして最弱職とも言われる弓使いのものだったからであった


「まさか弓使いが魔物化した熊を…」


「精霊よ私に力を…《スリープ》」


「…なんだ、これ急に…」


「…まだ生きてるな…」


「私の魔力と引き換えにこのものを癒したまえ《ヒール》」


死にかけだった彼の体はみるみる癒ていったが流石に全快とはいかず腕は痛々しい咬み傷が残っていた


「もう魔力が…」


彼の体は回復したとはいえどまだ致命傷の傷下手したら死ぬかもしれない傷だむしろ今の今まで生きていたのが不思議くらいだ


私は袋の紐を取り彼の腕に縛りつけ止血した


街からここまで走って十分…私の手だけでは運べない


私眠られせていた男を蹴り飛ばす



「ぶべぇ!?は?!」


「早く運ばないと死ぬ」


「おっおう!死ぬなよ弓使い!」


衛兵の男は彼をおんぶして走り出した



私は熊をみる


普通の熊とは違う一回り…いや二回りほど大きい


目立った傷は眼球のみ


周りを見渡すと彼に手渡した鉄の毒矢が落ちていた


その鉄の毒矢は血塗れでいてそして目玉が刺さっていた…


私がまずしたのは称賛


毒の矢が刺さるのは眼球のみだったのだろう

私が作った弓っぽいなにかで作ったもの

そして動きがある的でしかも数センチほどの的を当てるなんていうことができるものなのか?

いや普通はできないだろう


弓使いは本来動物…しかも攻撃能力のあまり高くないものしか倒せない言われているが


あの弓使いが殺したのは魔物化した熊


正直な話私は彼が死ぬと思っていた


何故ならば弓使いの無能な攻撃そしておもちゃみたいな弓


普通だったら死ぬだろう


あの弓使いは普通とは違う何かを持っている


…彼ならやってくれるかもしれない…


彼女はそう淡い期待をしながら街へ走る

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無能職の弓使いと言われててますが? 干し肉太郎 @Hoshinikutaro

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