挽き肉の一粒

挽き肉のこぼれたひと粒を見て

これだけの組織を

自分の指から切り取ったら

どんなに痛いか


そんなことを思ってしまう


指には痛点が集中してるから

他のところにしたほうがいい

なんていうこともちらっと頭をよぎるけど


牛も豚も鶏も

温かい血の通う生きもの

撫でさすってやるとうれしそうにして

後をついてきた可愛らしい生きもの


肉だけじゃない


茶碗にこびりついて洗われた末

食べられることなく排水口に流されていく

ご飯粒もちりめんじゃこも

生命を持った一個体だった


毎日の暮らしの中で

ともするとそのことを

忘れそうになる

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