おしるこの匂い

お昼どき

ぼんやり歩いていると

甘いあずきの匂いがした

それはとある家の

お勝手から流れてくる


え、お昼におしるこ食べるの?

おしるこはおやつではないの?

これだから甘党は


そう思いながら

自分自身もお腹が空いているのに気づく


どんなに悲しいことがあっても

つらいことがあっても

お腹は空くんだな、と


自分を生かしておくための欲求が

卑しく思えて


私が打ちひしがれるべきものごとに対し

ひたむきでないしるしである気がして


泣きたくなってしまう


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