07/08

5:55-6:00

 鮮烈な輝きがまぶたを刺激して目が覚める。

 慣れない目を右手で庇いながら先を見遣ると、未明の空を背景に浮かぶ光の姿を認めた。裾と袖の長い召し物が、空のそれらと溶け合っている。


「起こしてしまったかの」


 光は振り返り、私の傍らへとやってきた。


「此処は、全きに不可思議である」


 小首を傾げ、光は夜明けを待つ大地を見渡す。


「先日、たわむれに祈りを捧げてみたのじゃが、其れから、此の地の朝は、儂の祈りを合図にしておるようである」


 光の言うことがよく判らない。


「まぁ、見ておるが良い」


 光は私の傍らにて背筋を伸ばし、両手を胸元の高さで重ね、まぶたを閉じる。


「今日も」


 うら若く、澄み、嗄れた声が祈る。


「此の地に、儂の光が届きますよう。此の地にまう総てのものの、多幸と、息災を」


 途端、空の藍と朱色が揺らぎ、大地の彼方に光芒が射す。


「御早う、皆の者。本日も欣快きんかいたる日々であることを」


 光は手を下ろし、私に振り向いて微笑んだ。

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