第二十話 負けるビジョンが見えない

今回は少し長いので、時間のある時にお読みするのを推奨いたします。

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校舎と部活棟に挟まれて、昼間でも少しくらい中庭。一年生の時よくここでお昼ご飯を1人で食べたり、考えごとしたりと私の思い出の地だ。そんな中庭でまた1つ記憶に刻まれる出来事が起きるのかも知れない。






「神田さん まった?」


「全然 待ってないよ」

待ち合わせの相手、飯田俊太郎。

学年一位二位を争うと言われている程の美男子で、運動神経はもちろん。テスト成績はいつも学年TOPだ。これで人気が出ない方がおかしい。



「僕は、君に伝えたいことがあって君をここに呼んだんだ。来てくれてありがとう」


「あんな呼び方されて、来ないような肝の据わった女じゃないよ」


「はは それもそうだね」


「この後、遊ぶ予定があるから手短にお願いね」

ホントは遊ぶ予定なんてないが、早くこの気まずい雰囲気から逃げたかった。


「じゃあ 単刀直入に行かせてもらうよ。






     僕と付き合って欲しい。」



やっぱりこれだ。


「えっと、嬉しいんだけど、、、、

       私たち接点あったかな?」


「好きになるのに理由はいらないんだ」


TV CMみたいなセリフを返してくる彼。

すかさず私はこう返す。


「理由がないと好きになることはないよ」


「だって、私が身をもって体験しているんだよ 理由がないと好きにはならないことを」


「えっ? それは僕のことを好きになってくれたってことでいいのかな?」


「違う 他の人



だから、ごめんなさい。」


「あぁ、、嘘だ。この僕が振られるなんて」


「ホントよ」

あっ、、火に油を注いでしまったかも知れない。


「はぁ?  この僕みたいな完璧人間のどこが嫌だと言うんだよ。 そもそもこの学校に僕以上の完璧人間がいるのか? いたら一度見てみたいなー!  もちろん君の好きな人は僕より完璧だよなぁ?」


すっごい勢いで捲し立ててくる彼。

ごめんなさい修一くん。先に謝っとくよ。


「もちろん。 あなたより何倍も完璧な人が私の好きな人よ」


「うん? そんな奴、、

あぁ 少し喧嘩が強いだけでイキってる彼か。」


「その言い方はないんじゃないの」


「でも今までに一度もテストで僕に勝ったことないよな彼は」


「そんなに修一くんのことを下に見るなら、学園祭であなたと修一くんの人気投票をやる。修一くんがあなたに負ければ、私はあなたの彼女になるよ  約束する」


「おお! いい条件じゃないか 正直言ってあの暗根に負けるビジョンが見えないよ」


「そう ならよかった。 約束は守るから」


こうして、夕暮れの中庭での話し合いは1つの約束と共に幕を閉じた。



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side 修一


プルルー、プルル

携帯が手の中で震えている。視線を手に落とすと、そこには神田との2文字が表示されている。いつもかけてくる時間より少し早いような気がするが、、、、、、


 例の件だろうだな。


あいつは上手くやってくれたのだろうか?




これは、神田が教室を飛び出した5分後の話だ。




神田は俺の大切な友達でもあり、仲間でもある。そんな彼女が悲しんでいる。今すぐにでも駆けつけて慰めてあげたいが、異性の俺では価値観が女子とは違うだろう。


正直、あまり上手くフォローできる気がしない。

どうしたものかとしばらく考えていたら、彼女の名前が頭に浮かんだ。


そうだ、柑奈咲に手を貸してもらうとしよう。

携帯でチャットを飛ばすと3秒程で既読が付く。あれ授業中なんだが、まぁ 優等生でも授業中に携帯をいじることぐらいはするのだろう。

そんなことは置いといて、早速本題を打ち込む。


「今から神田のことを慰めてやってくれ」


「えっと、、、状況が読めないのですが」


「神田が苦しんでる、手を貸してくれってことだ。多分女子トイレだろう。」


「はぁ、、よくわかりませんが、修一君のためでもあるので引き受けましょう。もちろんタダでとはいきませんよ」


この時、俺は変な汗をかいていた。世界で三本の指に入る企業の令嬢からお返しを求められたのだ。どんな恐ろしい要求なのか。


「学園祭を一緒に回ってください!」


「え? それって柑奈咲にとってメリットあるのか?

 お前と俺は確かに将来、会社を一緒に動かすから互いの信頼性は培うべきだとは思うが、、、、柑奈咲ぐらい可愛いかったら、お誘いの1つや2つあるだろ」


「そうですね 事実10や20ありました」


「10倍、」


「でも修一くんじゃなきゃダメなんです! 修一くんがいいんです!」

柑奈咲は、幼稚園児のように幼い主張を飛ばしてくる。そんなに俺がいいのか。

俺のどこがいいのか意味がわからない。


「ああ そこまで言ってくれるなら、、、なんか恥ずかしいが、、、

 俺と一緒に回って欲しい。よろしく頼む麗奈」



それに既読はついたが返信はこない。早速動いてくれたのだろう。


これで、神田は立ち直ってくれればいいのだが、柑奈咲なら大丈夫だろう。


これが、今回俺のやったことだ。

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俺は、かかってきた電話に指をスライドして応答する。


「もしもし 俺だがどうしたんだ?」

あくまで、俺は何もしてないフリで神田に接する。


「しゅうぅ〜〜〜いちきゅぅん〜〜〜  ごめんなじゃぁ〜〜〜い」


「おお 許すから落ち着いてくれ」


「ホント?」


「ホントだ。 俺は神田のする事なら基本的にオッケーだ。」


「うん じゃあいうよ、、、、、、、、修一くんは




      飯田くんと文化祭で戦うことになちゃった、、、」


「神田。 例外はあるんだぞ」


「ごめんなさい でも私の身をかけてるの。」


「神田の身? ヤクザの取引か何かか?」


「ううん 飯田くんが学園祭のクラスの出し物で修一くんといろんなことで戦って、、、、、、、、勝った方が私の彼氏になるの」


「勝つ? 彼氏? これは厄介な話だな」


「本当にごめんね でもそれしか飯島くんを止められそうになかったから。

いつもの彼からは、想像できないぐらい殺気立っていたから」


完璧とチヤホヤされる人間が、失敗を犯して怒り狂うのは容易に想像できた。


「そうなのか それが最前で神田が選んだ手なら協力しよう 

  でも、っと そのー」


「どうしたの?」


「勝った方が彼氏とかなんとかになるって」


「そんなの勝ってから考えればいいと思うよ」


「まあ それもそうだな」


それから、十分ほどの間にそうなった経緯や勝負のルールを聞いた。


「ホントに悪いとは思ってる、、、、、、

    でも勝てないと思う人にこんなお願いしない。




   修一くん 私を助けてください」


「今の話を聞いたら、あいつの裏はカスだよな。

   少し周りよりできるだけでイキってるやつだ。」


「裏の顔はカスだね」


「三割も出していない俺の実力に比べて、勝って優越に浸ってるよな彼は」


「うん そう言ってたし」


「いい条件だ 正直言ってあの偽物パーフェクト委員長に負けるビジョンが見えないな」


「ってことは」


「そういうことだ 俺はあいつに決して負けない」







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あとがき


こんにちは

ブレックファーストです。


次回も修一くんはカッコいい!はずです。まだ1文字もかいてませんが、、、

フォロー、ハート、コメントお待ちしてます。


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『電車が緊急停車したら、俺の恋愛が急発進したんだが、、、』


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本当に読んでいただきたい!よろしくお願いします!


では、また次回お会いしましょう。






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