第十五話 お嬢様の父に娘とラブコメをして欲しいと頼まれるとこうなります

「絶対に退学なんてさせませんよ 王子様」



 そう柑奈咲は宣言すると、スマホを取り出して番号を打ち込む。

すぐに電話は繋がったようで,


「もしもし 麗奈だわ」


「こいつらを片付けて、事実も隠蔽して欲しいの よろしく」

電話が終わると麗奈はくるりとこちらに向き直る。


「改めて ありがとうと伝えます。

私は柑奈咲麗奈といます。 そちらは神田さんと私の王子様、修一君ですね」


「俺は国を治めてないぞ」とすっとぼけてみる。


「いえいえ 私の恋心を治めていますよ」

うん?この人こんなキャラだっけ。


答えるのがめんどくさいのでスルー。


「それよりも唇が切れてるぞ」結構血が出ているので伝えると。


「えぇ 修一君まだ早いですよ」なぜか柑奈咲が照れている。


「なんのことだ」


「だって修一君が、私の傷を舐めて治してくれるっておっしゃったので」


「おっしゃってない」


「おっしゃいました」


「おっしゃてない」


神田と俺の声が重なる。

それをみて柑奈咲はすうぅと綺麗な形の目を細めた。


「修一君 私というものがありながら浮気ですか」


「違うぞ」

と答える。

すると今度は神田が

「柑奈咲さん修一君は私のパートナーよ」


「いいえ 私を救ってくれた王子様ですよ」

変なことでムキになっている2人の真意は分からないが、出会った以上仲良くして欲しい。


「よし 俺から1つ提案があるんだが」


「なに」


「なんでしょう」


物凄い食いついてきた。

この子達はブラックバスか何かかな。


「2人が仲良くしてくれるなら1つだけ2人の願いを叶えてやろうかと」

2人の目はプリキュア並みにキラキラだ。

「わたくしの」「私の」、、、、、、、、、、、




「おうちにきて ください!」

うんうん 仲良くなってくれてよかった。

うぅん?今、家に来てって言ったよね。言ってたはずだ。


やはり、俺はテンパってこう言ってしまう。


「おう 任せてくれ」

あっ 「やりました」「やったー」

確かに俺は致命的なミスをやりました。発言はもう取り消せないようだ。

 



__________________________________



 時刻は、18時。

神田は使用人と確認したい事があるから後から来てと言って帰ってしまった。


 残された2人は、柑奈咲のリムジンで彼女の家に向かっている。


「修一君は好きな方、いますか」


「いや いないが、どうして」


「それは、、、」


「お嬢さま着きました」


「えっあ、あ そうね修一君ついてきてください」


「ああ」

柑奈咲家は本当にデカい。

庭には噴水、玄関にはシャンデリア。イメージ通りの金持ちだ。


俺がお屋敷に感動していると、奥から強面なおじさんが出てきた。

こいつは柑奈咲のボディガードか、何かだろうか。

すると柑奈咲が声をかけた。


「ただいま お父様」


「おお 麗奈今帰ってきたのか お父さん麗奈が変な奴らに絡まれたって聞いて、ホントにホントに心配だったんだぞ、」

おい なんか泣き始めたぞ。

強面のおじさんから、某アミューズメントパークのぷーさ○みたいに変わったな。


「大丈夫ですよ 少し唇が切れてしまっただけです」


「なに 誰がやったんだ お前か」そう言って俺の方を睨んでくる。

さすがエリート経営者、眼力が違う。


「えっと おr」


「彼は私の王子様です」


「王子様、、、ああ この前の彼か」


「多分 そうです」と答えたら、俺の手をガッシと握って


「ああ 王子様なんとお礼を言っていいか」


これは幼稚園の劇か何かだろうか。


「いいえ 俺は困った人を助けただけですって」


「しかも素晴らしい人格者 どうお礼すれば」

おい 俺は強面おじさんとはラブコメしたくないのだが、


「いやいや お礼なんて結構ですよ」

「いいやする おじさん絶対にお礼する」


あー また変な覚悟を決めてしまっている。これは、こちらが譲歩しないとだめそうだ。


「ああ それならお言葉に甘えさせてもらいます」


「おお! それはよかった 奥にいる麗奈と少し話してきてもいいかい」


「どうぞ」

なにを話すのだろうか。しばらくして、柑奈咲親子が俺の前に帰ってきた。


「修一君、お礼と言ってはなんだが」


「はい」


「うちの会社で働かないか」


「はい? それって柑奈咲グループの子会社とかですか」


「いいや グループの副社長だ」


「えぇえ」


「ああ 驚かせてすまない 正確に言うと、次の世代になるが」


これは、破格の条件だ。

だがその分責任感が強くて、、、、、、

「はっ はは」俺が悩んでいると柑奈咲のお父さんは、豪快に笑って


「いっぱい悩んでいるようだ 我が社は、社長と副社長が一心同体だから、麗奈と一緒に会社を経営してもらうことになるが、麗奈がいれば大丈夫だろう」


「でも 急には決められません」


「もちろん だから、準備期間を用意したんだが それでどうかな」


準備期間もあれば俺の能力ならしっかりやってける。そう考えると物凄いいい条件だ。

これに乗らない手はないだろ。


「じゃあやらせてください」


「わかった 準備期間の説明をする」


「お願いします」



「簡単にいうと」


「簡単にいうと?」




次の、言葉を予測できる人なんていない。







「娘とラブコメをして欲しい」

 

 場に、静寂が訪れる。


「えっと、、」


「返事は!」


「はい やらせていただきます」

勢いに逆らえず、見事、副社長見習いに就任した。


麗奈の笑顔が、悪魔に見えて仕方がなかった。


先程の奥での話は多分これだろう。


「よろしくね 王子様 兼 副社長」


「あぁ よろしくな麗奈」

きゅん。麗奈は真っ赤になりながら、答えた。


「はい!」


嵌められたが、そんなことが気にならなくなるぐらい可愛いな。








こうして、3人のラブコメの歯車はついに動き始めた。




____________________________________

あとがき


一章、本編はここで完結です。

皆様の、応援でここまでやって来れました。本当に感謝しかないです。


謎解きの答え合わせが入れられなくて、すみません。

次の、「ご褒美 大天使」の方で書かせていただきます。

この作品、実はプロットなどは一切ございません。常に直がき、一発勝負でございます。プロットの書き方を教えてくれる方、お願いします。



先程、紹介した通り、次はご褒美回にする予定です。

ぜひ、お楽しみに。


ハート、フォロー、レビューお願いします。

星   86×3=258 5月30日  5時30分   現在

こんなことになるのを夢に見てます。笑


感謝の気持ちでいっぱいのブレックファーストでした。


では、また 

 






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