第十一話 王子様探しゲーム当日朝 開戦



「ジョークじゃないわ 私が神田紫穂。修一くんみたいなクソ隠キャよ。 お気づきにならなかったの 本当に見る目ないわね クソイキリ陽キャさん」



 神田は最後にニコッと龍馬に笑いかける。龍馬は拳をプルプル震わせながらこう言った。


「おい 神田。お前は俺らのことをばかにして嘲笑ってたんだな」


「ええ そうよ。なんでこんな美少女に気づかないのかしら、目が腐っちゃてるのかしらぐらいはそう思ってたわ」


「ふざけるな!」


「ふざけるな? ふざけてるのはあなたでしょ。いつも私や修一くん、他の目立たない子を馬鹿にして笑いを取っていたのは。やった方は忘れてもやられた方は決して忘れない。今回で分かって良かったわね」


 もちろん神田は自分の言いたいことを言っている。

だが、必要以上にわざと煽っている。

「神田! 神田ふざけぇるなぁ!」


 言葉が、抑えられた人間が行き着く場は暴力だ。

龍馬もその理論に漏れなかった。


 柔道部のエースでもある彼は神田に向けて、手加減なしで手を振り下ろそうとする。神田は一歩も動かない。

そしてこちらを見てこう言った。



「修一仲間がピンチよ」




 俺はそれを聞く前に動き出していた。


 まずは神田の前に体を滑らせて、わざと龍馬の殴りをわざと腹で受ける。

まあまあだな。あまり長くするのは得策じゃない。

すぐに体勢を立て直し、相手の出方を見守る。


龍馬は柔道部だ。得意の柔道の技を使ってきた。

俺の襟を掴んで背負い投げの体勢に入る。

だがその後に動きがなかった。

俺が体幹だけで投げられるのを防いでいたからだ。龍馬は一瞬何が起こったのか分からないと動きが止まる。


俺はその間に龍馬の襟を掴み龍馬と同じ背負い投げを決める。

目には目を背負い投げには背負い投げを。


そして床に龍馬の体がつく前に腕に力を入れて支える。顔を竜馬に近づけて小さくこう呟いた。


「隠キャ馬鹿にすんな」


 そして首のところに手刀を必要最低限の

力で首の根本に優しく落とし龍馬の意識を刈り取った。


 龍馬を床に寝かせてから俺は周りを見渡す。

かっこいいと目を輝かせる女子、次は自分の番かもしれないと怯える陽キャ達、そしてヒーローを見るかのようにこちらを見る目立たない側にいる子たち。


見る目は皆違えども1つの思いが生まれていた。


 こいつは『何か』違うと。


 俺はあたりを見渡した後、焦点を神田に合わせる。


「大丈夫か」


「うん やっぱり修一くんは凄いよ」


「怪我がないならよかった」


 そして俺はクラスメイトに向かってこう伝えた。


「ここでの事は他言無用で頼む 俺も暴力はしたくない」

正直暴力などはする必要はないと思っている。

誰もが先程の喧嘩を見て保身のために自己完結して理解してくれている。


 そして、廊下に向かって歩き出す。途中、神田に呼び止められたが無視を決め込んで廊下に出た。


     仕上げがあるからな。

 

 

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  〜神田side〜



 彼は私の安否を確認して素早く口封じをすると何もなかったかのように廊下に出て行ってしまった。

あの時に動かなかったのは彼が守ってくれるという信頼があったから。

やっぱり好きなのかな彼のこと。


なにより、親の命令に背いて言いたいことを言えた。

それが今の彼女にとって最も嬉しいことだった。

そして機会を作ってくれたのは他でもない修一君だ。

 

 

「この時の彼女はもう知っていた。ここから激戦になっていくラブコメを」

 

 

 

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  〜修一saide〜


 俺は廊下を進んでいる多分今頃はクラスが大変な雰囲気になっているかもしれないがそれはしょうがないことだ。


俺はその後の保身のためにある人物に依頼をしていた。

それは俺の唯一の男友達 秀介だ。


 誰の目にもつかない廊下の端でデジカメを受け取る。


「それにしても 修一はこんなに強いなんてね」


「そんなに強くないぞ」


「まあ 認めたくないならそれでいいけど」


「あぁ そうしといてくれ」

 細やかなところに気を遣える我が友に感謝を伝えその場を離れた。


 俺の作戦はもともとこうだった。

神田にリア充グループまで上り詰めてもらい、やつらから情報を搾取するといったものだったのだが、神田が暴走する可能性があり喧嘩に繋がりかねないと考えた。


俺は自分が相手をコテンパンにしても罪が着せられることのないように第三者が撮った証拠が欲しいと考えて、秀介にことの一部始終を撮影して欲しいと頼んでおいたのだ。


俺は被害を一ミリも被りたくなかったので、相手の一発目の殴りをわざと受けて正当防衛を成立させた。



話し合いの末


 無事になんの処分も下らないことが決まった。


 そして、龍馬は柔道部を自主退部と3ヶ月の停学との処分を受けたと聞いた。


あの時、俺が助けなかったら神田はどうするつもりだったのだろうか。

 

神田を少し甘やかしすぎたなと後悔する俺であった。

 

 

 これが、『本当』の騒動が起きる前のHRのお話

そして、これから起きる波乱の展開は俺にも、だれにも予想できなかった。




次回から波乱の王様探しゲーム開幕


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あとがき

最近は見てもらうためじゃなく、見てくれるみんなのために物語を書いている

ブレックファーストです。


もう修一君良き! という方ハートお願いします!


神田さん良い性格してる笑 と思った方フォローお願いします!


修一君 君にはもっとカッコいい所見せてくれないと困るよ! 

という方は星お願いします!


全部でも良いんだぞ笑


まあ 言われなくてももっとカッコいい所書くんですけどね笑

また、次の話で会いましょう。



では、また

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