レイジリボーン・ザ・ウォーライフ~裏切られし少年は即復讐して即最強へ駆け上がる~

田仲らんが

第1部:レイジ・リボーン

プロローグ

 どうぞ、よろしく御願おねがいします!


          *


 「──ハッ。

  相っ変わらずウジャウジャとむらがってんなぁ、オイ!」


 そこは、とある廃墟はいきょ城跡じょうせき


 とは言っても、城はいまちた半壊状態でかろうじて残ってはいるが。


 その門前もんぜんで、一人の青年が前方を見据みすえ、堂々どうどう仁王立におうだちをしていた。


 どことなく野性味やせいみびている、黒き髪とあおを持つ青年である。


 目前もくぜんには、およそ千の〈機装きそう陸軍〉の軍勢が押し寄せてきている。


 狙いは当然、この城跡じょうせきだ。


 しかも、その軍勢の総員が『機装きそう』という“強力な武装”を身に|付け、完全に此方こちら殲滅せんめつせんとしている。


 しかし、通常この状況ならばおののくなり、一時的にでも後方こうほう退避たいひするなどの対策たいさくをとるはずなのにも関わらず――、


 ――青年は、口のはしり上げ、ニヤリとわらっている。


 「ふははっ、んだよ。

 あぁんなクソ雑魚ザコ機装きそう』で攻めてくるとか、マジでわらわせんじゃねぇよ、──な」


 青年はそう嘲笑ちょうしょうすると、右手首にめてある黒いバングルに手をけ、軽くひねった。


 「起きろ、バカ。」


 すると、バングルにあおく光る幾何学的紋様ラインが浮かび上がり、機械的な少女の声が発せられる。



《──……対象が『機装きそう』を完全に装着──確認しました》


《──これより〔纏装方式ウェアラブル・システム〕を始動します》


《──“自動干渉接続操作開始オートメーション・スタート”》



 瞬間。

 手首にまっていた固形物こけいぶつであるバングルが、黒色の液体に変化。


 独りでに動き出し、徐々じょじょに青年のからだへとまとっていく――。


 やがて、液体それは青年の総身そうしんを余すことおおくすと、液状から瞬時にはがねごとよろ形作かたちづくる。


 《──“精神干渉接続リネア・コンタクト”──“接続完了コンプリート”》


 《──“身体干渉接続セカンダリ・コンタクト”──“接続完了コンプリート”》


 《──“魂魄干渉接続キュービック・コンタクト”──“接続完了コンプリート”》


 《──“結合任務完全終了ミッション・オールクリア”》


 《──『纏装型てんそうがた蒼骸魔装具アーティファクト』、

 〔ZARゼル:BB〕──起動します。》



 機械的な少女のような声が終わると同時、青年がまとう黒のよろいにも、蒼光あおひかり幾何学的紋様ラインが機械的な音と共に浮かび上がる。

 

 「お前さぁ、何時いつもソレ言う必要あんの……?」


 《……コレを言わないと、接続時に集中できないんですよ。

 あと、ワタシはバカじゃありません》


 「はぁ~?

  バカはバカだろうが、この頭でっかち野郎!」


 《……そういうアナタの方がバカじゃないんですか?》


 「んだとぉ……っ!?」


 《ふん……》



 何故なぜか、身にまとよろいと会話する青年。


 だが、そのあいだにも砂塵を撒き散らしながらせまる軍勢の前進は止まらない。


 〈ヴルムクウィスト装機きそう陸軍〉。

 通称『ガイアナ』の|一端である、〔第|66陸戦機装大隊〕である。


 そして、その大隊の元所属者である青年の仇敵きゅうてきなのだ。


 青年が凶悪な笑みを浮かべ──命ずる。



 「まぁ、それはさておき、だ。

 あの矮小わいしょうなる屑共クズどもの|塊を、無知蒙昧むちもうまいなる蛆虫うじむしを、その末端まったんまでくずとし、────ほろぼすぞ。」


 《……了解しました》



 青年はいさましく城門を出ると、虚空こくうへ向かって無造作むぞうさに片腕を突き出す。


 すると、その虚空こくうから突如とつじょとして一丁の銃器が顕現けんげんした。


 青年の身にまとう黒鎧。

 それと同様の色と、紋柄もんがら所謂いわゆる――光線銃ブラスターと呼ばれるモノだ。


 その光線銃ブラスターを軍勢目掛めがかまえると,

再度───わらう。



 「さぁて……殲滅の時間ジェノサイド・タァ~イムだァ……。

 ククッ、クククッ……!」


 《……完全に悪役ヒールですね》


 「……うっせぇよ。

 んなことより、屑共ヤツらが気付いていない内にとっととやるぞ。

 ──“崩滅充填フィル・エクスコラプス”!!」

 《はぁ。……仕方ないですね。

 ……了解しました。

 ──崩滅充填フィル・エクスコラプス開始しますスターティング

 充填率パーセンテージ一〇%、二〇%、三〇%──……一〇〇%。完了しましたコンプリート


 「目標の屑共を捕捉ターゲット・ロックオン

  ──射出ファイアッ!!」



 青年と黒鎧が一言一句いちごんいっくつむいでいくたび、蒼黒い光の奔流ほんりゅうが青年の周囲に巻き起こっていく――。


 刹那せつな、青年が勢いよく引き金トリガーを引くと、銃口じゅうこうから禍々まがまがしく蒼黒い光線が次々と発射され――暴悪なる弾雨だんうとなって、眼前の軍勢へと降り注がれる。



 「──う、うぁああああああーーッ!?!!」


 「な、なんだぁ……っ!?

  なにがっ、なにが起こっているのだ…………っ!?」


 「ひ、ヒィ……ッ!

  み、見ろっ、前方だ……っ!!

  あの黒髪の男ッ、この手口に光線……ッ!?

  ──れ、暴覇レイジだッ!!!

  暴覇レイジがいるぞォォォォーーッ!!!!」


 「う、ぅあ…………!

 く、黒の悪魔ブラッディだ……っ!

  黒の悪魔ブラッディの再来だああああああーーッ!!」


 「全軍、緊急退避ィーーッ!!

  後方へ下がれェーーッッ!!!

  退避ィーーーッッッ!!!!」



 その光線に触れた者は、例外なくからだくずち、ちりにすららず、ほろんでく。


 千も機装きそう陸軍の軍勢はその数を間断かんだんなく減らしていった。


 そのさまは……阿鼻叫喚あびきょうかん地獄絵図じごくえず


 まさしく、目も当てられない有様ありさまだ。


 しかし、無情むじょうにも、青年はなお引き金トリガーを引き続ける。


 残酷ざんこくに。


 無惨むざんに。


 冷酷れいこくに。


 そして。


 ────残忍ざんにんに。


 血も涙もく、暴戻ぼうれいの限りをくした。


 そして、敵方てきがたが大した抵抗ていこういまま、呆気あっけなく、その軍勢を殲滅せんめつ──いな。あとひとり、残存ざんぞんしていた。


 あかい髪を後ろでたばねており、整った顔立ちに、き通るような肌を持つ美しい容姿の女だ。


 だが、今は同胞なかまの返り血や自身の負傷によって、あられもない姿となっている。


 屑共の殲滅ゴミ掃除をし終わった青年は、にぎっていた銃を虚空こくうへ落とす。


 すると、先程さきほどまで顕在けんざいしていた銃は、忽然こつぜんと消えた。


 そして、傷だらけの彼女の元へと一歩ずつ、ゆっくりと歩みを進める。


 彼女は荒い吐息といきを吐きながら、くだんの青年を鋭い目つきでにらむ。


 そして、気付く。


 気付いて、しまう──。



 「──っ!?!!!!

  き、貴様は……ミカエル、なのか!?

  その姿……、一体どうなって……。

  いや、それよりも、──何故なぜだっ!!

  何故なぜ、こんな蹂躙ことをするのだミカエルっっ!!!」


 「はぁ?

  何故なぜでぇ??

  何故なぜでだとぉ……っ???

  ──ハッ、わらわせんな!

 んなモン決まってんだろォが!

 かりったこと聞ィてんじゃねェ!!!

  復讐だよ、ふ・く・しゅ・うッッ。

 ──かるか?

  あの日、俺が、あの屑共クズどもに裏切られ、殺されけたあの日ッ!!!!

  ……この時をなぁ、ずぅっと待ってたんだよ……。

 ま、腰抜こしぬかすほど、呆気あっけなく終わっちまったけどなぁぁ!!!!!

 ふはっ、ふははっ!!

  ざまぁみやがれぇってんだァッッ!!

  ふはははははははは────……!!!!!!」


 「なっ………!?!!」



 青年は、わらう。


 狂ったように、嗤う。


 それはまるで、真面まともな精神をたぬ狂気の沙汰さたである。


 そして、一頻ひとしきわらい終わった青年は、目の前に立つ彼女へと。


 冷酷無比れいこくむひに──う。


 「はぁ、はぁ……。

  ハハッ、ひっさし振りにこんなわらったわー。

  いやぁー、愉快愉快ゆかいゆかい

  実に、愉快ゆかいだぜぇ……。

  ──んでぇ?

  お前はぁ?

  ど・う・す・る『?』」


 相対そうたいする青年の元所属大隊。

 その大隊長であり、恩人であり、憧れ、好意を抱いていた相手へ。


 彼女自身の──結末エンドを。



 「わ、私はっ────!」



 そのいに、彼女は─────……


 

         *



 此処ここまで読んでいただき、誠に有難ありがと御座ございました!!

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