家族紹介A②

そんなこんなで、決まる事もなく時が過ぎ、何とか決まった会社は大手企業。やはりヒーローは違う。


今だからこそ思うものの、当時のAにそんな事を思う余力があるわけもなく、縋り付いた藁だ。入社式当日、Aは過呼吸を起こし途中で帰ってきた。


「ここしかない、もうここしかないんです。取り消しになりませんか?」人事に縋りながら帰路へついた話は、十年経った今聞いても胸が痛い。


社会人になってからのAは散々だ。


そもそも入社時点でうつ病。しかもそれを会社にはいっておらず、入社から数ヶ月で休業。新入社員で休業手当が貰えるなんて、流石大手企業。



ともかく、Aは一年も持たずに藁から手を離した。


そこから今までの記憶は正直お互い曖昧だったり、口に出すのを憚るものだったりで確実性の欠ける部分が多い。


そもそも学生の私とニートだったりフリーターだったりなAではライフスタイルがかなり異なる。


私は、朝六時半には家を出て十九時頃に帰ってくる生活をしていた。


Aは、何処かへ派遣をしていた頃は同じ様に朝家を出ていた気がするが、私が出る頃に目を覚ます為顔をあわせる事がなかった。Aは、会社終わりには毎日の様に酒を飲んでおり、帰宅時間も遅かった。



Aが、社会人になってからの20代はある意味激戦の時代であったように感じる。


端的に表すと、①依存症の併発②自殺未遂③罵詈雑言

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