昔話その3 しじま/夜

 蒸し暑さ/伝う/汗

 弾む/息

 敵


 敵/打ち貫く/銃弾


「弾丸がなくなった! フォロー!」

「行くわよ、ナナ」

「はぁい」

 ナナ/ルナ/名コンビ

 敵/誘う/罠/二人/攻撃/命中/

 木――上/終/獣/黒豹/敵/殺害

 武器/装備/次/獲物


「ユキサキ、伏せろ!」

 鼓膜/響く/ガルム/

 横/木/破壊

 視線/見る/獣/否――

「敵の動き……ジャーム化、確認!」

 敵/オーヴァード/確認済/各個撃破予定/狂う

 完全――バケモノ

 四足歩行――巨大/鹿――敵

「負けるってわかってジャームなんて! 馬鹿じゃないの」

 ルナ/罵る

「くるよぉ、くるよぉ~。いやぁ!」

 ナナ/悲鳴

 終/二人――庇う/飛ばされる

 敵/迎え/構え


 赤い/弾丸/敵/脳天/貫く――イクソス

 弾丸/弾け/広がる/網/敵/包む――飲み込む――静寂


 音


 木々/出る/イクソス

 冷静/

 敵/接近/口/開く


「隊長っ!」

 ルナ/悲鳴

 イクソス/無視/ジャーム/首筋/噛む/吸う/血

 ジャーム/倒れる

「……っ作戦完了、お疲れ、お前たち」

 笑う

 視線/合う



「信じられないわ、隊長、あんな風に敵の血を吸うなんて、いくら衝動だからって」

 ルナ/作戦後/抗議

 六人/野営/

 作戦/亜熱帯地/現地交戦参戦/完全なるでばがめ/集められたチーム/作戦/日々殺す/日々生きる

「まぁそう怒るなよ。ここ最近は敵にもオーヴァードが増えたから、気をつけろ」

「私たちがやられるわけないでしょう」

 ルナ/強気/微笑み/信頼

「最強の部隊なんだから」

「そ、そうですよ。俺たちは隊長の下から絶対に負けませんよ」

「そうよ!」

「勝率99%」

 和気藹々/信頼/

 最高/チーム/

 最強/チーム/

「油断すると死ぬぞ。どうしたユキサキ」

「ん、いや、奴さん、ジャーム化しただろう。ああなると少し面倒だなぁって」

「確かに。ジャーム化の原因やらはわからんが、単純に死に過ぎるとああなる。見た目がバケモノになるとわかりやすいが、人のままのパターンもあると聞いた。面倒だな」

「気を付けないとな」

 しじま/炎燃える/夕飯/フード

 亜熱帯/ジャングル/戦場/希望/期待/日々/生る

「隊長はユキサキが相棒よね。やっぱり付き合ってるの? この戦場から帰ったら結婚とかするの?」

「ぶっ! 俺とユキサキが付き合って……な、な」

 唖然/イクソス/

 興味津々ルナ/ナナ/

 狼狽/終/

 機械音/ガルム

「いや、ないだろう、こんなやつ」

「それはひどくないかい、イクソス」

「悪いが俺にも選ぶ権利がある」

「僕だって」

「けど、寝てるんでしょ」

 ルナ/断言/正解

「やだ、ふけつぅ」

 しかめ顔/ナナ/

 赤面/終/

 けたたましい機械音/ガルム/

「寝るのと付き合うは違うだろう。悪いが俺は結婚を二度したし、離婚は三度してもう十分だ」

「それって同じ相手なんだよねぇ。イクソスってば、傭兵仲間と必要に応じて結婚したんだから」

「スニャールはそういう女なんだよ」

 スニャール/前妻/あきらかな偽名/仕事/結婚/離婚/割り切り/イクソス――性癖ノーマル/

「この歳になって今更男も女も変わらないとおもってな」

「隊長、割り切り、す、すぎです」

 終/混乱――初心

「けど、同性だっていいはずだわ」

 ルナ/理解/

 視線/合う

「こいつが恋愛感情理解できると思うか」

「あ、無理だわ、ごめんなさい隊長」

「無理無理ぃ」

「ですよね」

「99%不可能」

「君らひどくないかい?」


 寝静まる/静寂/しじま/ふたり/向き合う/煙草――交換/火/

 イクソス/接近/先――先/点-―線/

 煙/甘い/


「次、遺産回収の仕事でしばらくは休暇になる。もともとそれが目的で作られた部隊らしいからな」

「へぇ。休暇、どこに行くの?」

「故郷に戻るつもりだ。お前は?」

「特にないな」

「……来るか?」

 視線/合う

「どこに」

「俺の故郷に」

「……本気かい、それ」

「本気でないなら言うかよ」

「……君は人を殺すことが好きだよね。イクソス」

 確信/危険/膨れる殺意/一瞬/笑う

「それがどうした」

「……実は僕もなんだ。ああ、僕の場合は殺すことが好きなんじゃない。楽しいことが好きなんだ。ただ僕の場合は殺し合いが楽しいことだった。オーヴァードになって殺し合う楽しいことがずっと出来る、なんて素敵なんだろうって」

 視線/合う

 海

 否

 空


 カルタゴ/空



「けど、君といることは楽しいよ」

「……ユキサキ」

「僕はさ、父親か、母親だったけ、どっちかが日本人なんだよね。おかげさまでユキサキって名前をもらった。雪が咲くんだってさ」

「偽名じゃないのか」

「偽名なんて面倒だよ。イクソスは?」

「偽名じゃないが」

 唖然――顔/

「お前の名前はなんというか、へんな音だから」

「ふふ、そうだよねぇ。けど、ユキサキってさ、行く先って意味らしくて、お前がどこにいっても見つけられるようにって。どういうひっかけなんだろうなって。雪と行くをひっかけたとかいってた」

「……お前の母親か父親はカトリックだろう」

「なんで?」

「誕生日は十二月?」

「うん、そうだけど、どうしてわかったの」

「その名前、ベツレヘムの星のことだろう」

「なにそれ」

「キリスト教が生まれたときに咲いた花だ。ほらクリスマスツリーの上にある星だ」

「あ、ああ」

 納得/疑問

「けど、どうして、そんな花の名前ぽいのを」

「……居場所のないものの墓には必ず咲くらしいぞ」

「ふーん。今度もう少し丁寧に教えてくれるかい? 興味あるな。だって僕の名前の由来だしさ」

「いいぞ。きちんと教えてやる。それでお前、ときどき本を眺めては顔をしかめてるが、どうしたんだ」

「んー。ああ、単語しかわからないんだよ。こうしてしゃべる分にはいいんだけどさ、書くのと読むのは苦手でさ」

「……お前、読めないのか」

「苦手なんだけでーす。ほら」


 イクソス/ユキサキ


「ちゃんと書ける」

「……この/はなんだ」

「単語を読みやすくするやつかな。僕は単語を覚えてるけど、文章作りは下手でね」

「そうか。だったらピロトーク代わりに教えてやろうか。世界が広がるぞ」

「……教えてくれるかい?」

「ああ」

 煙/絡む/笑う

 欲/言葉/つなぎ――合わせ/イクソス/瞳/伝える/否/残す/言葉/空


 カルタゴ/瞳


「そしたら書いてみたいな、手紙を」

「なんだ珍しいな。お前にしては……誰かにラブレターか?」

「似たようなものかなぁ」

 視線/合う

 触れる/絡む/奪う/力/囁く/静寂/静寂/静寂/



 カルタゴ/空

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