ケンタとみゆり~きみとゆく道、出会う道

黒須友香

はじめに――自分は、誰だっけ?

 こんにちは。

 このゲームブックへ興味を持ってくださいまして、ありがとうございます!

 このブックは、私の小説『コード・オリヅル~超常現象スパイ組織で楽しいバイト生活!』のスピンオフ作品ですが、本編を読んでいない方でもお読みいただくことができます。



 はじめに、『コード・オリヅル』の簡単なキャラクター紹介をします。


 甲斐 健亮(かい けんすけ)

 18歳のお人好しな男の子。

 精霊せいれい幽霊ゆうれいなどを見ることができる、不思議な目の持ち主。


 折賀 美仁(おりが よしひと)

 18歳のクールな男の子。

 足が速く、空も飛べちゃう、不思議な能力の持ち主。


 折賀 美弥(おりが みや)

 17歳の優しい女の子。折賀おりが美仁よしひとの妹。

 甲斐かいと兄、二人ととても仲良し。


 黒鶴さん(くろづるさん)

 折賀おりがにただよってる黒い霊。

 甲斐かいには自分と同い年くらいの女の子に見えるらしい。


 人間三人と霊一体は、不思議なえんで一緒に仲良く暮らしています。



 次に、このゲームブックの主人公たちの紹介です。


 ケンタ→男の子主人公

 みゆり→女の子主人公


 初めに、どちらかの主人公を選んでください。

 最初はそれぞれが違う物語を体験します。

 二人は、途中で出会い、そこからは同じ物語になります。

 よろしければ、何回か読み返して、ケンタとみゆり、両方の物語を体験してみてください。


 ↓それでは、本編スタートです!



  ◇ ◇ ◇



 ここは、どこだろう。


 気がつくと、町の中をうろうろしてた。


 ずっと走ったり歩いたりしたので、すごく疲れちゃった。少し立ち止まってぼーっとしてたら、どこで何をしてたのか、わからなくなっちゃった。


 どうしよう。これから、どこへ行けばいいのかな。


『どうした? 迷子まいごか?』


 急に、誰かに声をかけられた。


 声がした方を見ても、誰もいない。ただ、真っ黒い雲みたいなもやもやが、そこにふわふわと浮いてる。なんだろう、これ。


『私がわかるんだな。珍しいこともあるものだ』


 雲は、顔が見えないけど、今ちょっぴり笑ったような気がする。そんな感じの、ちょっと優しそうな声。


 勇気を出して、話しかけてみた。


「あのー、あなたは誰ですか?」


『今までに、私が見えるという者はひとりしかいなかった。その者からは、黒鶴(くろづる)と呼ばれている』


「くろづる、さん」


 変わった名前だなあ。


 こっちも名前を教えた方がいいのかな。


 あれ、でも……


『どうした? 困りごとか?』


「うん……どうしよう、自分の名前、思い出せないよ」


 名前どころか、どうして町をうろうろしてたのかも、家がどっちかもわからない。


『落ち着いて、よく考えてみろ。何かひとつくらい、思い出せる名前があるだろう?』


 くろづるさんがそう言うので、がんばって思い出してみた。


 すると、心の中に、ふたつの名前が浮かんできた。


 ひとつは『ケンタ』。ひとつは『みゆり』。


 誰かが、優しい声で呼んでくれてた名前。


 ああ、よかった。やっと思い出せたよ。


「あのね。ぼくの(わたしの)名前は――」



●・○・●・○・●・○・●・○・●・○



【どちらか選んでね!】


◆「ぼくの名前はケンタ! 男の子だよ!」


⇒ROUTE1 ありのままのぼく

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897049162/episodes/1177354054897218161


◆「わたしは、みゆり。女の子でーす!」


⇒ROUTE2 エコバッグを持ったお兄さん

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897049162/episodes/1177354054897219517

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