第9話「ダンジョン探索④」

「いやー、しっかしスッゴいねえそれ!レナの言うとおりすごい神器だね!」


「はい、そうです!この神器は凄いんですよ!モンスターさんとも仲良くなりたいと思ってこれを選んだんです!」


 レナの召還したドラゴンがドラゴンゾンビを倒し、レナの『ターンアンデット』で完全に浄化して、今は新通路のダンジョン最深部の部屋でお宝を物色しているところだ。

 長い間誰も踏み入れていない場所ということもあって埃が凄いことになっているが、眠っていたお宝は本物だ。目利きに関してはそんなにわからない私でもものすごい価値のあるものだとわかる。

 クリスの爛々と輝く目を見れば私の判断は間違っていないとわかる。


「しっかしすごい量だねえ。全部は持ち帰れないかな?」


「これは流石の私でも持っていけないな......」


 莫大な量のお宝を前に私とクリスが立ち尽くしていると後ろから、


「あ、それなら!力持ちなモンスターさん!お願いします!」


 レナがそう言いながら目を瞑り、念じているとレナの持つ神器が輝き、ダンジョンの天井ギリギリのゴーレムが三体が召還された。


「やった!成功しました!それではゴーレムさん、このお宝を運ぶの手伝ってもらっていいですか?」


 ゴーレム達は軽く頷くと部屋に溢れているお宝達を軽々と持ち出口へと歩きだした。


「それじゃあダクネスさん!クリスさん!帰りましょっか!」


「「……………」」


「ね、ねえダクネス?」


「なんだクリス?」


 なんだか気まずそうにクリスが聞いてくる。何を言いたいかは大体私と同じだろう。


「レナってさ、......スペック高すぎないかな?」


「全くもってどう意見だ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 レナの大活躍もあってか、普通は何日もマッピングをしながら慎重に行うダンジョン探索がボスであったドラゴンゾンビ討伐も含めて一日で終わることが出来た。

 流石にダンジョンの入り口に張っていたテントまで戻っていた時には日が沈んでかなり辺りは暗くなっていた。


「流石に日帰りとまではいかなかったねえ」


「そこまでできてしまったら他の冒険者が可哀想に思えてくるぞ」


「仕方がない!ここでもう一泊しようか!」


 クリスの案によりダンジョンの前のテントでもう一泊することになった。

 レナは召還したゴーレム達にお礼をして、また何かを念じながら光と共にゴーレム達を消滅させていた。


「レナ、その、消えたゴーレム達といい、ドラゴンといい、彼らはどこへ行ったのだ?」


 ダンジョン内で召還したドラゴンも先ほどと同じ様な方法で消し去っていた。


「んーー。わかんないですね。なぜか念じるとモンスターさんを召還することが出来ますし、なぜか念じるとモンスターさんを消滅させる?ことが出来ますし......。あっ、元いたところへ帰ったんじゃないでしょうか?」


 レナが顎に手を添え、首を傾げながら教えてくれた。

 実際レナにもあまりわかっていない様だ。

 改めて思うがレナの持つ神器は凄く便利なものだな。

 多少のクールタイムや召還までの時間はいるだろうが好きな時にモンスターを召還し、自由に使役することができる。召還されるモンスターはランダムだが、レナの話によると使い込むと本人の意思にある程度添ったモンスターを召還できるという。まさに神器と言ったところか。


「ちなみに、どんなモンスターでも召還できるのか?」


「出来ると思いますよ?悪魔とかアンデットをプリーストである私が召還し、使役するというのはおそらく無理だと思いますが、基本的にはどんなモンスターでも出来るはずです」


「なるほど。ち、ちなみにオークの雄を召還できるのか?できるのなら、今度......」


「何言ってんの、ダクネス!レナもオークなんて召還しなくていいから!というか召還しないで!」


 クリスが止めに入ってきた。くっ、いいところだったのに。だがこのお預け感がまた!


「んんっ......!たまらんっ!」


「「……………」」


 二人の冷たい目線もまた!んんっ!!

 武者震いがっ......!



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 次の日私達は朝一の移動馬車でアクセルの街へと帰った。馬車にお宝を全て積み込めるか心配したが、座席が少々手狭になってしまっても構わないならと気前よく乗せてくれた。お宝の量に御者はとても驚いていたが。



 ギルドに着き、お宝の量が量なので精算に時間がかかるそうなので、その間に私達は大衆浴場へと向かった。一日だけとはいえ、年頃の女子がお風呂に入れないのはなかなかに辛い。臭いなどと男性冒険者に蔑まされるのは.........ん?案外悪くないな。さすがに今のパーティーではそんなことはしないが、しないが......。


「しっかし、一日ぶりのお風呂は気持ちいいねえー、ダクネス?」


「お風呂に入れないというのは、女の子に対しては致命的ですよね!ね、ダクネスさん?」


 うん、やめておこう。


「ああ、とても良いものだ。女子にとってお風呂はかかせないからな」


 私達は一日ぶりのお風呂を満喫し、ギルドに併設されている酒場ではなく、気分転換に街の中にある店で朝御飯を食べた。

 たまにはこういう所で食べるのも悪くない。


「お宝の精算にはかなり時間がかかるらしい。確か夕方頃になると言っていたから今日は一度解散して、夕方にギルドに集合するか?」


「うーん、そうだね。レナはどうする?どこか行きたいところとかあったりする?」


 レナは少し考え、


「なら、私、お買い物したいです!持ってる服がこの服とパジャマしかないので!」


 乙女には辛いことを言った。


「そうか、ならそうしようか。私も買いたいものがあるしな」


「あたしも何か買おうかな......」



 そういう訳で私達は店へ向かった。



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 次回!ドキドキお買い物編!

(嘘です笑別にドキドキしません笑)


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