失態⑨

 ピンク色の下着がひょっこと覗かれる。その中には、つつましくもしっかりと女性の象徴が隠れていて――



「ちょちょちょっ、ストップストッープ!」


「なんで~~?ほらほら、見たいでしょ~~?」



 いやちょっと見たいけどさっ!これはもうセーフゾーンギリギリだぜっ?

 というか、お前に恥じらいはないのか恥じらいはぁ!どうしてそんな平然な顔をしていられるっ!



「まー君のためだったら、私は別に良いよっ……?」



 はだけた状態で俺に密着して、上目遣いで見つめて来る春香。……ちょっとこれはやばい。頭がクラっとしてしまう。



「なっなにしてるの工藤さん」



 そんな俺らを見て、固まるのは名取。その顔には驚愕の色が大きく染み出ていてる。そんな顔あんまり見たことが無いから、こっちも驚愕を受ける。



「なにって、癒してあげてるのよ」


「癒し……?下着をさらけ出してくっつくのが……?」


「ま、まぁそれが真っ当な反応だよな……」


「……知らなかった」



 え?



「――私も、それするっ」



 そう言って、名取はおもむろにブラウスのボタンを外し始めた。すると、春香とか対照的な大きいたわわが下着に包まれて現れる。……というか、本当になにしてるん?



「ほらっ、大きい方が良いでしょっ?」


「コラッ名取、く、くっつくなぁ!」


「そこの屑犬と比べておっぱい大きいでしょ?どう?」


「や、やめなさいよそんなハレンチな事!それの私の真似しないでくれるっ!?」



 言い合うたびにムニュムニュと押し付けられて、理性が飛びそうになる。



「真似なんかしていない。これは文化」


「文化っ?は~~?私が最初に始めたんだしぃ~~?」


「……そこまで言うなら、分かった」



 俺から離れて、背中の方に手を回したかと思えば――ブラのホックを外した。

 つ、つまり、その……胸があらわになるってことで――



「ちょ、まー君なんで大きくしてるのよっ!」


「……面目ない」


「あんたもあんたっ!こんな所でなにしてるのっ!」


「癒し。さっき工藤さんもしてたから」


「くっ………」


「それに、正幸君はもう私のおっぱいにくぎ付けみたいだよ?」


「そ、そんな体で誘うなんて……そんなのが正当化されると思ってるのっ!?」



 お前が言うなよ、お前が。



「ほら正幸君。生の感触はどうかなっ?」


「…………」


「うわぁまた固くなったまー君最低っ!」


「やっぱり工藤さんみたいな可愛いものじゃ興奮しないって」


「そっそうなのまー君……?」



 いや俺別にそんなこと言ってないし、いうつもりもないからそんな深刻そうな顔しないで?ね?その言い分だと俺が変態みたいになっちゃうからっ。



「……はぁ、もうこれで分かった?私の勝ちだって」


「絶対認めないっ!そんなのぜーったい認めないっ!」



 そう叫んだ後、春香も背中に手を回してホックを外そうとして――。



「お前ら、掃除は?」


「「「……せ、先生っ……」」」


「なぁ阿賀?私ちゃーんとお前の不始末に落とし前をつけてきてやったてのに、なんだこの有様は?あ?」


「…………」


「お前らもお前らだ。ったく、私が仕組んだけども、方法を考えろよ方法。胸なんか出すな一線は超えるな」



 名取の胸をパシンと叩く先生。「あぅ……」と言いながら揺れる胸が実に恍惚で

 ――じゃなくて。

 なに仕組んだって。どういうこと?



「あの~~、先生――」


「おい阿賀。変な詮索はするなよ。じゃなければお前のあらぬこと言いふらす」


「すいませんでしたぁぁぁ!」



 いやん。俺ってば純粋だぁ。ちゃんと謝れるなんて偉い♡



「はぁ……。これからは私が監視するからちゃんとやれよ」



 そう告げて更衣室に椅子を取りに行く先生の後ろ姿をボーッと眺めながら、俺は静かに呟いた。



「俺、被害者なんだよなぁ……」





























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