〜暴走する教団〜

白命が、力の消失を恐れリスト教団の力を断罪し始めてから数ヶ月

リスト教団の幹部で一部のものが〝テロの代理人〟の力を使い、強制的に悪事をしていることを改めて知った


白命はその集団を断罪するかの様に、ひとつずつ町や村を回り続けた

本当だったら世界全土にいるリスト教団の力を消し去れば良いのだが、〝テロの代理人〟の力がどれだけの規模で進行しているか分からない現状では、それはリスクが大きかった


仕方なく白命は仮面をつけ世界各地を回りながら、リスト教団幹部の一部で悪事を働くものを見つけては力を取り上げ断罪をした

方法はいたって簡単で、テロの神様である白命が、真実を話す様に幹部連中に暗示をかけて事実確認をした後、悪事を行っていた場合は速やかに断罪するを繰り返すだけだった


しかし、世界全土に広がってしまったリスト教団を断罪することはとても大変だった

そんなある時、立ち寄った村である噂を耳にした

「テロ様が世界中で暴走したリスト教団を裁いて回っているらしいぞ」

と言う会話を聞いて、自分の行っている行為が世界全土に広がっていることを知るとともに、テロの力も少しずつだが戻りつつあることを感じた


しかし、その噂を聞く中で少し疑問に思うことを聞く。

それは自分がまだ回ったことのない町や村でも、テロの名のもと裁きが行われていると言うものだった


だが白命にとってはそれは、さほど重要なことではなかった

どちらかと言うと、1人ではカバーできないところを、カバーしてくれるそのものが、自分と同じ考えのもと世界を良くしようとしていることに感動までしていた


そんな白命意外にも、テロの名を使い町や村を救う者のおかげでリスト教団にいた悪事を働くほぼ全てねの根源を断ち切ることができた


数年にも及んだが、その断罪の旅が終盤にまで差し掛かっていた


事件が起きたのはそんなある日のことだった

全国に同時配信されたテレビ中継を見ていた白命は思わず声を失った


そこには白命ではない誰かが〝テロ〟としてテレビに出ていた

そしてそのものは恐るべきことを口にしたのだ

「私の名はテロ、世界に生きる全ての者も知ってるだろうが

私の〝言うことは全て事実となる〟力を分け与えたリスト教団の幹部たち一部に、その力を悪用するものが現れた


私はそんな人たちの行いを憎み世界を回りその悪事を断罪してきた

結果救われた町や村は多くある


しかし私が立ち寄った時には間に合わない町や村も多くあった

私はそれを見て何度も悲しみに支配された


だから私はその悪の根源を本当の意味で根絶やしにするため、浄化を行いたいと考える

しかし浄化するには犠牲もついてきてしまうかもしれない

私はためらっている。

しかし、そんな犠牲を払っても今、浄化しなければ世界は腐ってしまう


だから私は世界に存在する核兵器を使い、悪の根源が住まうその地を浄化したいと思う」


それを聞き終えた白命は言葉を失っていた

「今、あそこにいる僕の偽物はなんて言った

浄化の為に核兵器をあらゆる所へ落とすだって」

自分で口にしたその言葉に目の前が真っ暗になった白命はその場に倒れ込んでしまった


目が覚めた時

白命は気を失う前のその絶望的なことが頭をよぎり支配していた

「核で…浄化」

そのつぶやきとともに白命は布団に潜ると恐怖で体が震えさせた

「そんなことできるわけない、できるわけない」

そうなんども呟きながら、白命はその事実を否定し続けるのだった


あれから何にも手をつけられなくなっていた白命は、おじいちゃんが住んでいた土地に来ていた


おじいちゃんの家について懐かしいその家の中で少し時間を過ごす

何も手につけられないほどの、言葉にできない気持ちを胸に椅子に座ると

ふと何かを思い出し本棚に向かった


「確かここに」

そう言いながら白命は本を中に押し込んだ

そのあと昔来た時と同じ様にあの秘密基地に向かう


ここであの資料を見つけたんだよな

そう呟き部屋の奥にある作業机に目がいった

そこには一枚の紙が置かれていた

取り上げてみるとそこには「滅んだ世界の遺物 解読文書」がもたらす弊害と書いてあった


どうやらおじいちゃんはその資料を見て、起こりうる弊害について調べていたらしい

そこには、毒を生み出すなど、さまざまな弊害となる項目が挙げられていた

白命はそれに目を通しながら見ていく中で、一つの文字に目を奪われた


〝核兵器を打つことができる〟


それを見た瞬間、白命はおじいちゃんがこの危機的状況を予測していたことを知り

この力を世の中に出した自分自身の罪として、核兵器を止める決心をするのだった


白命はまずテレビ関連の人をあたり人数を集めた

そこで生中継を行い、全世界に向けて暗示をかけようとした

内容は

「この前のテロは私になりすまし、世界を滅ぼそうとしたあくまである

私は世界を崩壊するつもりはない

だから核兵器は使わない」

というものであった


生中継が始まり白命は暗示をかけた

生中継を終えた後、ホット胸をなでおろすかのように座り込む

その瞬間だった

「なんだこれ」

と言う大きな声が響き渡る

テレビ関連の人が集まっているのは生中継をしていたテレビだった

白命もそのテレビの近くに行くと覗き込むようにその画面を見た


生中継をしているが、実際映像が移されるにはタイムラグがあるから、こうしてその内容を見ることができた

しかし白命はその内容に驚きを隠せなかった


テレビからは、自分とは違うテロが映し出されていた

そして、そのテロは全世界に向けて

「私はテロである、世界を浄化するため

私は世界を崩壊するものである

これより核兵器を全世界に向けて無差別に放つのです」

と言い放っていたのだ

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