陽炎

 

まずは腰を屈めて


ゆっくり、ゆっくりと、


決して焦らず、慎重に


そしたら地面に手をついて


そして大きく深く息をして


誰にも乱されず、自分のペースで


御空の上のそのまた上


眉を潜めて少しだけ太陽にご挨拶


そろそろ蝉が鳴きだす頃だ


煩わしいけどそれも蝉への対価


夜には薄羽蜉蝣が光に集まる


彼らは一瞬の命の燈火の中を全力で生きている


これからどんどん暑くなっていくね


倒れたり、膝をつく時があるかもしれない


でも大丈夫


どんな時でも蝉のように、蜉蝣のように、


君はふぅっと息をして命を繋ぐ


ゆらゆらと揺られ転んでしまっても、また立ち上がる足を持っている


この世の一つ一つが今を生きる


この世のすべてかすべてのために生を為す


次に立ち上がる君のために

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る