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――それから。


高級旅館やホテルのような建物がある中で、あえて古民家のような趣きのある民宿に足を踏み入れ、部屋に荷物を置いた辺りで、『プルル』と僕の携帯が震えた。

どうやら呼び出しのようで……


「(ガラッ)ウィーッス。今から皆でお風呂に入るんだって?」

「……んなメッセージ送ってねぇよ、捏造すんな。今後の予定の話とかだよ」

「おや、大所帯だねぇ」

イナリの部屋を戸を引くと、既に中には多くの女の子達が寛いでいた。皆が余裕でダラダラ出来る程に、広い和室。

適当に座布団に腰をかけ、「どうぞ」とモガミが淹れた緑茶を一口。

「さぁて……じゃあツル君も来たしぃ、今後の予定の話でもしようかー」

「それでツムグさん、予定っていうのは? 皆でどこに遊びに行くかって話?」

「あははカサネちゃんはもうここに来た目的を忘れたぁ? 頭ハッピーセットだなー」

「酷い言われよう!?」

「まぁ皆で遊ぶってのも有りだけどそれは後回しでぇ、まずは君達三人の女の子にはツル君とイチャイチャして貰わなきゃ始まらないんだよー」


そう。おさらいしておくが、今回の【ドキッ! ハプニングだらけ(予定)のキツネ島レジャー★ポロリもあるよ★】にはサブクエストがある。

彼女達を、元居た世界に帰す為のクエスト。

具体的には――並行世界から来た(と思われる)女の子三人と僕とがそれぞれの時間を過ごし、この世界に元居た彼女達との違いを細かに観察し、齟齬があればツムグに報告する。その齟齬の部分から彼女達の本来居た世界が特定出来るらしい。(どんな検索システムかは深く突っ込まない。まぁ僕の力を利用すれば大抵の無茶も効く)


「でぇ、皆が固まって遊んじゃったら本気でイチャイチャ出来ないでしょう? だからぁ『個人回』を設けようと思いまーす」

「アホくさい響きね……つまりは、女の子達それぞれが鋏と二人きりになれる時間を作るって事でしょ」

「ユエちゃんせーかーい!」

「ふ、二人っきり!?」

「……、……」

「ふ、ふん、別に二人きりとか今更だぜっ。て、てか、ワザワザその、齟齬を見つけるだけならイ、イチャイチャとかする必要あるか!?」

「分かってないねぇイナリちゃぁん。イチャイチャしないと出てこない、『本音』ってもんがあるでしょー?」

「グヌヌヌ……」


各々違った反応を見せるヒロインズに僕は満足しつつ、それぞれの女の子達とどこで遊ぼうかな? なんてプラン考えていた。

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