第9話 勇者ふなたびをする後半 ~ うみのあたらしいぶき


・・・



夕方になり、軽く雨が降り出した。


小雨だが天気が悪くなってきた。



船はさらに進み、砂漠が見えなくなって、


岩山のある島と草原のある町がうっすらと見えてきた。



小雨に当たって目の覚めたヒーラーまりこが


「やんじぃ!やんじぃ!

岩山のある島と草原の町のどっちに進むの?

教えてー」


と言うと、



「岩山のある島にネクラゴンドウに行くための

火山がある。その島に行ければいいが、

最後の難関がありそうだのぅ。」


そう指差した船の先には海上に


モンスターの大群のようなポツポツが


浮いているように見える。



「キャー!数が多すぎませんか?

起きて!起きて!ああああさん!」


ヒーラーまりこは勇者の肩を揺すった。



「えっ!えっ!もうご飯?

肉ある?魚ある?」


「違います!モンスターの大群です!

ものすごい数ですよ!」



驚いた様子で海を見ると、

その数は100匹を軽く越えていそうだった。



「やばいな!この数だとガトリングガンでも

弾が切れちゃうし、でんげきのけんの射程に行く前に

船が沈められそう。」

 

勇者"ああああ"は困った様子でウロウロした。



「勇者様、このヒモに何かをすれば、

新武器が使えるんじゃないですか?」


そう言って、ヒーラーまりこはヒモを引っ張るが、

反応が無い・・



悩んでいる間にもモンスターの大群との距離が

近くなってきた。


モンスターの種類を見ると、


巨大イカ数匹に、大量の岩場ツムリ、

そして魚人の群れ、、


気づいた巨大イカが水を飛ばしてきた。


まだ届かないようだが、船の下の方には当たった。



「やばいよ!やばいよ!

船首にあのイカの水が届いたら

やられちゃうよ。

未来人999、どこ行った?」


あわてて未来人999を呼びに行った勇者。



その間にも ズズン! と巨大イカの水が

船に命中している。


船の側面もときどき ゴリゴリ! と音がする。


「やばいっすねぇ!船の周りにも

岩場ツムリがいるらしく、

方向転換出来そうに無いっス!」


そう叫ぶ歌人せいや。



その頃、未来人999の部屋に入った勇者は


疲れて寝ている彼を起こした。



「おい!あの新武器の使い方を教えてくれ!

使い方がわからないぞ!」


ゆさゆさと揺すられて、未来人999は目を覚ました。



「おはようです。あれ、わかんないですか?

やばそうですね。」


と 返事をしている間に


船首ではヒーラーまりこの悲鳴が聞こえる。



「じゃ、私が行きますよ。

勇者さんは護衛をしてください!」


そう言って、未来人999はベッドルームを

飛び出した。



すると、船首を逃げてきたヒーラーまりこが


「もうまずいよ!船首にも水が届いてる!

私はもう逃げちゃった!」


「大丈夫、私と勇者さんがなんとかします!」


未来人999は力強く返事して、


船首に走っていく。


勇者"ああああ"も 嫌そうな顔をしながらも


彼を追いかける。



未来人999は新武器の近くに移動して、


葉巻の火を付けた。


そして、


「勇者さん、私がヒモに火をつけるまで

私を守ってください!」


と 待機した。



勇者は近くのガトリングガンで


まだ遠い巨大イカを狙撃して、妨害。



そして、ヒモの火が奥まで

進んだその時!





ドドォン!!!!!!!!!





と大きな音がして、鉄の筒の武器から


鉄球のような弾が飛び出した!





そして、魔物の群れの真ん中に落ちると、





バシャーーーン!!!!!




と 魔物の群れをまとめて空高くに

吹き飛ばしたのだった。


水しぶきは船の上まで飛んできた。




・・・



「助かったぁ!」


勇者"ああああ"は床に倒れこんだ。



「上手く行きましたね。」


と未来人999。



船は岩山のある陸地に近づいていく。



「あの火山の見える島はもう少しじゃな。

大勇者おるでかと、魔王を倒すために

あの島に上陸したんじゃ。

魔物も強くなるから、気合入れるんじゃぞ!」


「私達、あまりレベル上げていないけど大丈夫かなぁ?」




そんな会話をしつつ、


勇者一行はネクラゴンドウの洞窟のある島に


上陸するのだった。




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