第7話 勇者ひきかえす ~ ふねの町



「ずいぶん早く北の村に入れたよね!

未来人999に大魔道師やんじゃ、超助かった。

ありがとう!かんぱーい!」


そう言って、勇者"ああああ"一行は昼から

村で酒を飲んでいた。



「お前さんはまだ未成年だから、

酒を飲むのはなぁ。」


大魔道師やんじゃがそうたしなめる。


勇者はいちおう16歳の子供だ。



「まぁまぁ、勝てたお祝いでいいじゃない。

ところで、次の目的地は?」


そう尋ねると、大魔道師やんじゃが

地図を見る。



「このすぐ北にエルフの村があるぞい。

魔王に呪いをかけられて、眠っているそうじゃ。

助けにいくべきじゃ。」


「賛成でーす。助けにいきましょう!」


歌人せいやも当たり前のように賛成した。



「うーん、ガトリングガンも呪いのかがみもあるし、

俺らに勝てる魔物はもういないんじゃね?

魔王のところに行こうよ。

大陸全部歩くのめんどくさい。」


急にとんでもないことを言い出した勇者"ああああ"を

メンバー全員がぎょっとした目で見た。


何バカなことを言っているんだ、こいつは、

そんな目だ。



だが、経験のある大魔道師やんじゃが口を開いた。


「魔王のところに行くには、

ネクラゴンドウという洞窟をクリアする必要がある。

だが、その前に船で火山のある島に行かないといけんの。

それが大勇者おるでかも通ったルートじゃ。」


「船はどこで手に入れればいい?」


「ユーラッシャア大陸の西南にある

ポントガという船町に船があるぞい。

王様に貸してもらえるのじゃ。」


「じゃあ、今すぐ行こう!」


そう興奮する勇者"ああああ"に

未来人999も口をはさんだ。



「新装備を作るのにも時間がかかりますし、

素材も要ります。

ユーラッシャア大陸の攻略を終えて、

素材を集めた方が確実だと思いますが、、、」


「あたしもそう思うな。」


ヒーラーまりこも賛同する。



しかし、勇者"ああああ"はモンスターを蹴散らした

ガトリングガンと呪いのかがみの力に魅入られてしまっていた。


「いや、途中のモンスターで素材も拾えばいいよ!

だから、今すぐポントガに行こう!

しゅっぱーつ!」



そう強引に言った勇者は

昼の軽い休息を終えると

すぐに村を飛び出してしまった。



「しょうがないですねぇ・・」


「若いってええのぉ・・」


飽きれながらも仲間も勇者を追いかけた。



・・・



そして、夜。


かなり長距離の移動だが、港町のポントガに到着した。


夜は酒場の明かりでにぎわっていた。



「道中もガトリングガンと呪いのかがみのおかげで

余裕やな!さぁ、船のところに行こう!」


そう興奮して言う勇者"ああああ"に

大魔道師やんじゃは



「港町ポントガにもいちおう王様がいるんじゃ。

あいさつしたら、船を貸してもらえるはずじゃぞ。」


しかし、勇者の反応は予想外だった。



「いや、船を買いに行くんだよ。

今すぐに。だから、借りなくてもいいよ。」



そうすんなり言い放った勇者"ああああ"

はすぐに船付き場に行って、

交渉を始めた。



「船の値段?船を買う冒険者なんて

あまり聞いたことねぇな。

いちおう言うけどよ、10000000Gでどうだ?

がはははは!!持っていないだろ?」


笑いながら言う船長。


しかし、勇者"ああああ"は全く動じず

に返事した。



「オーケー!

ちょうど99999999Gあるから、

余裕で買えるよ。10000000Gで売ってちょうだい。」


「まじかい!あんたはまさか、、王族か貴族の方かい?」


「大勇者おるでか家の勇者だよ。名前は恥ずかしいから

言わないけど、とにかく勇者なの!」


「そうか!魔王が復活したから、

勇者様が来たんだな。

ぜひうちの船で魔王を倒してきてくれ!」



船長はそう言って快く船を譲ってくれた。


さっそく、勇者"ああああ"は仲間に報告に行った。



「やぁやぁ!船を簡単に買えちゃったよ!

今夜は買った船で休もう。

明日の朝までに出航の準備を整えること!」


「えー!町を観光しないの?

せっかくの船町なのに!」


「だって、さっさと魔王を倒して、

快適な家に帰りたいもん!

ママが待ってるし。

町の食事がまずいんだよ!」


「えー!そんな理由なの?」



ヒーラーまりこはあきれている。



そして、すぐさまに


「じゃ、戦いに疲れた勇者は

船のベッドで休むね!

みんな船の出港準備お願いね!」


そう言って、勇者"ああああ"は

買った船のベッドルームに

一直線で向かってしまった。




「本当にどうしょうもないのぉ。

さて、わしは老人じゃから、休むぞい。

未来人999か歌人せいやかヒーラーまりこ、

船の出港準備を頼むぞい。」


そう言って、大魔道師やんじゃも

ベッドルームに行ってしまった。



「さて、皆さんはどうします?

私は海用の新武器の準備を急がないと

いけないのですが・・・」


「しょうがないね。

まりこ、いっしょに準備しよう!」


「えー!私女の子なのに!」


「若いから大丈夫さ。

勇者様なんかほっといてさ、

2人で仲良くやろう!」


未来人999は新武器の準備、


歌人せいやとヒーラーまりこは

出航の準備で担当が決まった。



そうして、大陸を北に南に歩き続けた長い1日が

終わるのであった。



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