第4話 勇者ひとにたよる! ~ けんじゅうと毒エサ


「いやあああっ!うわっ・・・」


どてっ!



巨大ありくいは身をかわした。


そして、勇者"ああああ"に突撃して吹っ飛ばした。




「うわっ!」


ダンジョンの壁に激突する勇者。1のダメージを受けた。


ひかりのよろいの防御力のおかげでダメージは少ない。


0か1だ。



「くそう!ダンジョンの中じゃ雷を落とせない!

当たれ!当たれぇぇ!」


大振りじゃ当たらないので、でんげきのけんを

ぶんぶん振り回して 巨大ありくいに襲いかかった!



後ろに下がる巨大ありくいだが、振り回しは回避しきれずに

でんげきのけんで切られた。


15のダメージ!巨大ありくいは死んだ。


5の経験値、10ゴールドを手に入れた!



「はぁっ、はぁっ、雷さえ落とせれば

楽なのにっ!」


「ダンジョンには雲はありませんからねぇ。」


「こんな戦いが続くと倒れちゃうよ!

未来人代わりに戦ってよ!」


「うーん、私は戦闘できませんからねぇ、ただの1000年後の未来の一般人です。

でも、勇者さんが戦っている間にいいモノを作りましたよ。

これです。」


そう言って、未来人は勇者に鉄で出来た武器を渡した。



「これは刃先も無いけど、どうやって使うの?」


「未来のけん銃と呼ばれる武器です。

武器の中に弾をこめて使います。

モンスターを狙って、引き金を引くだけです。」


「それでモンスターは死ぬの?」


「急所に当たれば死にますね。」



そう言っているうちに夜光うさぎが

フロアの100mぐらい先から突撃してきた!



バンっ!バンっ!


勇者が引き金を引くも、すぐには当たらない。



「もっと引き付けてから撃ちましょう!

射撃の名手じゃない限りは弾の無駄使いです。」


「来るな!来るなっ!」


未来人の声の聞こえていない勇者は

弾を無駄使いしながら、射撃しまくった。



ブシャッ!


キシャァァ!



ようやく、夜光うさぎの目にけん銃の弾が

命中した! 50のダメージ!


夜光うさぎは動かなくなった。


経験値10、15ゴールドを手に入れた!



「このけん銃すごいな!弾が切れたから、

まとめてちょうだい!」


「わかりました。残り100発ですから、

大切に使ってくださいよ。」


弾を渡された勇者”ああああ”は

弾を詰め替えた。




バンっ!バンっ!


バンっ!バンっ!


バンっ!バンっ!


「ひゃっはー!快適だぜぇ!!」



パーティの先に転がる

モンスターの死体。


回復スライム、毒スライム、夜光うさぎ、巨大ありくい、


最初の階層で出るモンスター達が次々とダンジョンの

地面に転がった!



「無駄撃ち多いですよ。もうちょっと慎重に撃ってください。」


「成長期だから、少しずつ上手くなるって!」


勇者"ああああ"の射撃は3回に1回当たるぐらい。


それでも、

RPGらしい戦闘になるまでも無く、

遠距離からの一方的な虐殺だった。


階段でフロアを1階下りて、

そして、1階上がる。



勇者”ああああ”のけん銃でダンジョンを進む一行。


ダンジョンも中盤に進み、広大な最後のフロアに到達した。



そのまま、新大陸へのワープのとびらに到達するのも

目前かと思われたその時、、、



カチッ! カチッ!



「やべぇぇ!弾が切れたぞー!もっと弾をくれ!」


「材料不足で鉄鉱石が切れました。

新大陸で補給するまで、作れませんね。」


「巨大いもむしが迫ってきてるんだぞー!どうにかしろ!」


「うーん、そう言われましてもねぇ・・」



勇者と未来人が言い争っているその時、


大魔道師やんじゃがにやりと笑って、言い放った。


「ここでわしの出番じゃな!」


そう言って、服のポケットの汚い袋を取り出した。



「僕の祖先のおるでかと冒険した時のようにすごい魔法でも

使ってくれるのか?」


「いやいや、わしは引退した身じゃから、

ぎっくり腰にこたえる魔法は使わん。」


大魔道師やんじゃは袋から取り出した

毒々しい紫色の餅を30m先ぐらいの巨大いもむしに投げた。


餅はいもむしの顔に当たって、地面に落ちた。



そのまま突進してくるかと思われたが、

いもむしは餅の香りが気になったのか、

足元の餅を食べだした。




「しめしめ、これで終わりじゃな。」


「毒エサ?こんなので巨大なモンスターを

倒せるの?」


「上級モンスターじゃないなら、いちころのはずじゃぞ。」


巨大いもむしはエサを食べると、ギロリとこちらをにらみ

また突進してきた・・・・ 



「うわぁぁ!未来人、はやく弾を作れ!レア鉱石でもいいから!」


勇者がそう叫んだその時、突進して目前の10mまで迫ったいもむしは


倒れこむように勇者を軽く吹き飛ばして止まった。




「よし!わしのアイテムのおかげじゃな!」


「いでで・・」


勇者が立ち上がると、巨大いもむしは死んでいた。


食べて数秒で人間より大きいモンスターがすぐ死ぬなんて、とんでもない毒だ。





「そんで、この先どうするの?

またモンスターが出たら投げるの?」


「このフロアで終わりじゃし、遠くまで投げておくと

良いかもしれんの。モンスターを皆殺しするんじゃ!」


「オーケー!じゃ、投げるよ!」



勇者”ああああ”は思いっきり遠くに毒エサを投げた。


しかし、ちからが足りなくて 20m先までしか飛ばなかった。



「おいおい、お前さん、勇者なのに情けないのぉ。」


「まだ育ち盛りだから、しょうがないじゃん!

誰か代わりに投げて、、そうだ!せいや頼むわ。」



歌人のせいやに毒エサを渡した。



「せいっ!」


せいやが思いっきり投げると、毒エサはフロアの50m先までは飛んだ。



「おーし!それぐらい飛べば十分だ!

勇者の僕の指示する場所に投げながら進んでくれ。

モンスターが食べてすぐに死んでるし、いい感じ。」


「わかりましたー」



ダンジョンに毒エサを投げてから進み、


パーティは ノーダメージのままにワープのとびら前まで到達した。



「巨大いもむし20匹、毒スライム50匹、

夜光うさぎ30匹、巨大ありくい35匹、回復スライム5匹。

全滅する勢いで倒したね!

経験値1000にゴールド2000か。楽チンだな!」


「ほっほっほ、邪道じゃが、わしのアイテムはすごいじゃろ?

今後はもっとすごいアイテムを作るぞい。」


「戦わずに魔王も倒せると楽だね。魔王を戦わずに

倒せるアイテムを作ってよ!」


「魔王は無理じゃな。お前さんが勇者が戦うんじゃ。

育ち盛りじゃろ?」


「えー!無理無理!戦わずに魔王の島を破壊した方がいいよ!」



そんな会話をしながら、勇者パーティはワープのとびらを

くぐった。


新大陸に移動する光の道。


体が軽くなるような感覚を感じながら、光につつまれた。


光で目を開けれないぐらいにまぶしくなった後、


新大陸の草原に到着していた。



光の後で目が戻らない中、ぼんやりと見える城が


草原の奥に見えていたのであった。



「少し歩いたら城だね。そこで休息してから

王様に会おう!」


「了解ー!」


「食べ物が美味しいといいね!」



あまりに快適だった戦闘のおかげか

パーティーは疲れ少なく、元気に新大陸のお城に

向かうのだった。


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