夢のおわり

第24話

「今日いつものメンバーで飲むんだけど、久しぶりにどう?」

 玲を飲み会に誘う。

 次々と身近な人を亡くして落ち込んでいるようだが、必ず断らないだろうと確信していた。

「じゃ、ちょっとだけ付き合うわ」

 やはり。思ったとおりだ。

 一度帰って支度をする。

 彼女は約束の時間より早く着くはずだ。


 彼には……ゆっくり来てもらうとするかな


「いらっしゃいませ」

 約束の時間より少し早く着き、店員に案内された席に着く玲。

 その様子を、彼女の右斜め前の席に座り、じっと見つめる。

 彼女はちらっと僕を見たが、次々と人が集まりはじめ視線が離れる。

 全員が揃ったようで飲み物を頼み乾杯をした。


 俺は……一番向こうに座ったようだな


 玲が近況を話している。

 そのうち俺に話題が移った。

 どうも社内に好きな人がいるのではないかと聞かれているようだ。


 ……本人が自覚していないのに聞いてどうする

 まあ、いい

 好きに言わせておくか

 おっと、眠くなってきたようだな

 そろそろ夢を見てもらうか……


 ――十秒……か

 よし、もういいだろう


 彼女の首がカクンと前に傾げて、目を覚ます。

 はっとして顔を上げた彼女と目が合う。

 隣の席から話しかけられ彼女から目をそらす。


 僕を見ているな……いや、手を見ているのか

 それならば――こんなのはどうかな?


 微笑みながら、料理を取るふりをして彼女のほうへ手を伸ばす。

 ガタッという音が響く。

 反射的に椅子を引いた彼女が立ち上がり、そのまま店から出て行った。


 さて――いよいよ仕上げだな……

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