第6章 新たな出会い

第12話 バイトをしたい

沙穂の件に関して衝撃的事実が判明した。

実は.....沙穂は俺の自殺した幼馴染の親戚の子だと判明したのだ。

ただ衝撃だけが俺を包んでいく気がする。

それから俺は.....何故この事を話さなかったのかと座ってから沙穂に聞くと。

沙穂は対面に腰掛けて.....破顔した。


頭を下げて涙を目尻に浮かべる。

そして、ごめんなさい、とひたすらに謝ってくる。

何故俺に対して隠していたかはこう話した。

俺に対して.....震えながら、だ。


「貴方の話を聞いて.....それから話せなくなりました」


と、だ。

俺は.....この少女にどれだけの重荷と言うか.....背中に石の重りを、過負荷を掛けているのだろうと思ってしまった。

多分.....相当に重石になっていた筈だ。


漬物石が背中に無数に乗る感じで、だ。

本当に情けないな俺、と思う。

もし.....沙穂のその事を直ぐに察せれば.....もう少し楽をさせてあげれた筈なのに。

俺は歯を噛み砕く様に食いしばる。

馬鹿だ.....。


全て俺のせいだな。

もしかしたら.....そうだな。

親のせいもあるかも知れないが.....今回は俺の察する事の出来なかったミスだ。

俺は思いながら.....沙穂の涙を指で拭った。

沙穂はビクッとしながら.....俺を破顔した顔で見てくる。


「.....沙穂。俺も悪かった。お前の事を.....察せなかった大人の俺の完全なミスだ。御免な。泣かないでくれ」


「.....でも.....御免なさい.....」


「.....」


そして涙を流しながら.....必死に沙穂は謝る。

俺はその姿を見ながらマジにどうしたものか.....と考えていると。

いきなりスマホに電話が掛かってきた。


俺はビックリしながら.....画面を見る。

そこには.....皆野と書いてあった。

俺は?を浮かべながら.....電話に出る。


「どうしたんだ。皆野」


『あ、ごめんね。突然。お話ししたいかなって』


「.....」


少しだけ赤面する。

何で赤面するかと言えば.....今日の昼間の件だ。

だから俺は赤面した。

でもナイスタイミングだな.....。

思いながら.....顎に手を添えて沙穂を見てから話す。


「.....皆野」


『何?小五郎くん』


「.....お前の家で今度、沙穂を一晩だけでも泊めてやってくれないか」


『.....え!?どうしたの?』


皆野が驚愕する。

沙穂も目を丸くしながら俺を見てきた。

俺は.....皆野に訳を話す。

何故そうするのかを、だ。


「.....1日で良い。沙穂にはお前ぐらいしか女性で頼る奴が居なくてな。泊めたら色々と気持ちの整理が出来るんじゃないかって思ったんだ」


『.....何かあったの?』


「色々あってな。沙穂が俺の自殺した幼馴染の親戚の子とか判明した。俺の幼馴染が昔、借金で自殺したんだ」


『.....え!?それって本当に?!初耳だよ!?』


ああ、と俺は話す。

今度全て話すから今はそれじゃ無くて、とも言った。

そして.....外を見てからスマホをスピーカーにして沙穂に向く。

それでどうかな、と俺は言う。

沙穂は、で。でも.....、と困惑していた。


「.....俺じゃ対応し切れない部分も相談出来ると思う。だから.....泊まってみると良い」


「.....でも.....皆野さんにご迷惑じゃ.....」


『全然オッケーだよ。沙穂ちゃん』


だそうだ。

と俺は苦笑する。

沙穂は.....少しだけ嬉しそうに、じゃ。じゃあ、と決意をした様に言う。

それから.....スマホに話し掛ける。


「.....今度、泊めて下さい」


『バリバリオッケーだよ。あはは』


皆野は笑みを浮かべているのだろう。

笑顔の声を発しながら.....皆野は明るく振る舞う。

そしてそれを確認した沙穂は少しだけ困惑していた。

俺は?を浮かべて見る。


「でもその間.....小五郎さんが心配です」


「大丈夫だ。有難うな。でも沙穂が居ないと少しだけ世界が変わるかもな」


「.....大好きな小五郎さんですから直ぐ戻って来ます」


その言葉に皆野が、え?、と一言。

俺は.....1秒ぐらい考えた。

そして思いっきり見開きながら.....沙穂を見る。


「.....どうしたんですか?小五郎さん」


「.....い、いや.....」


『沙穂ちゃん』


皆野がその様に一言だけ言葉を発した。

俺はそれを冷や汗をかきながら見る。

よくよく考えたら.....沙穂と皆野が恋心の気持ちを明らかにするのは初めてでは?

そう思ったのだ。

そうしていると皆野がゆっくりと言った。


『.....もしかして.....小五郎くんの事、好きなの?』


「.....え?あ、はい。好きです」


『.....そうなんだ。あはは。.....じゃあライバル同士だね』


「.....え?.....え?.....あ.....」


沙穂はハッとして何かを察した様だ。

まさかこんな電話で色々と明らかになるとは。

思いながら.....俺は頭に手を添えた。

だがその俺の心配とは裏腹に沙穂は皆野に打ち解けていく様に見える。

沙穂は.....少しだけライバル視しながらスマホを見る。


「.....本当にライバルですね」


『うん。そうだね。あはは』


逆に良かったのでは無いかと思う打ち解けさで有る。

俺は少しだけ安心しながら見る。

そして.....逆に沙穂にとってはスパイスになった事に....笑みを浮かべた。


それから結果として。

沙穂は皆野が、皆野は沙穂が。

俺を好きだと納得した。

何だか恥ずかしいんだが.....。



沙穂に泊まったら良いんじゃ無いかって勧めたのは気分転換になるかと思ったのだ。

だから.....泊まったら良いんじゃ無いかって勧めた。

だが.....その件の電話の最中、俺を好きだという感情が分かってしまい。

沙穂は何だか俺を見る目が変わった。


「.....私、小五郎さんに振り向いてもらえる様に頑張ります。.....香穂お姉ちゃんの分まで幸せになりたいです」


「.....ああ。そうだな」


「.....小五郎さんに好きになって欲しいですから」


「.....」


夕食を作りながらその様に和かに話す、沙穂。

本当に有難いもんだな.....こんな俺を好きになってくれるなんて。

だけど俺は.....好きという感情は.....芽生えないと思う。

何故かって言えば.....幼馴染を失ったからな。


「.....沙穂。今の環境は好きか?」


「.....はい?.....あ.....はい」


「.....そうか。良かった。お前が居てくれて俺も幸せだ」


「.....はい」


ニコッと微笑む、沙穂。

俺はその姿を見ながら.....目線をずらす。

すると沙穂は.....モジモジし始めた。

俺は?を浮かべて見る。


「.....小五郎さん。その、相談が有るんですけど」


「.....何の相談だ?」


「.....バイトをしたいです」


「.....は?」


言い出し辛くて.....と沙穂は複雑な顔をする。

どういう事だ?、と俺は聞いた。

すると沙穂は.....俺に向いて真剣な顔をする。

そして言葉を発した。


「.....私だけがお世話になっている気がします。だから.....社会経験も積んで.....働きたいんです。お礼もしたいです」


「.....そうか.....」


「だからバイトをさせてくれませんか」


「.....」


俺から言える事は.....何も無いな。

考えながら.....沙穂にそのまま伝えた。

少しだけ心配だが。


「.....沙穂。お前の好きな様にやって見ると良い。.....頑張れ」


「.....じゃあ.....」


「ああ。バイトしてみろ」


「.....はい!有難う御座います!」


でもそれは携帯を持ってからな。

と俺は指を立てる。

じゃ無いと.....それなりに心配だから。

と言うと沙穂は、はい。当たり前です、と返事した。

俺は、そうか、と呟く。


「.....小五郎さん。本当に有難うです」


「.....ああ。大丈夫だ。だけど決して無理はするなよ」


「.....はい!」


こうして沙穂はバイトを始める事になった。

ついでに言うなら.....これが新たな出会いになるとは。

思ってもみなかった。

俺は驚く日々が続くのだ。

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