第3章 目覚めるそれ

第6話 恋の華

皆野が俺の家に来た。

俺は.....ただその皆野には見開くしか無く。

逆に皆野は.....俺に眉を顰めていた。

目の前にビールが置かれている時計の針の音しか無い、静かな空気しか流れない俺の部屋。

このまま帰すのは如何なものかと皆野を部屋に招いたのだ。

そんな皆野は俺に複雑な顔をしていた。


「.....分かった。.....小五郎くんの説明で分かってきたよ」


「.....ああ。それなら良かった」


だが直ぐにまた複雑な顔に戻った。

そして.....俺を見てくる。

真っ直ぐに、だ。


「でもごめん。.....この前まで知らなかった女子高生と生活って.....まだ頭の中がごっちゃごっちゃ。.....未成年を預かるって.....それに一番としては.....相手の親の許可も未だに取ってない様な女の子を預かるって.....」


「.....」


俺はほぼ回答出来ずに俯く。

そんな秘密が有るとは思わなかった、と.....皆野は少しだけ落胆した感じを見せた。

俺は覚悟を決めた。


皆野に嫌われても良いと思いながら.....俺は意見を言おうと真っ直ぐに見据える。

そして言葉を発そうとした。

のだが、その前に沙穂が手を挙げた。

俺達は?を浮かべて見る。


「.....私、小五郎さんにご迷惑をお掛けするつもりは無いです。これから何か有っても起こっても.....全部.....説明するつもりと.....迷惑を掛けないつもりですから」


「.....沙穂ちゃん。それで良いわけが無いよ。.....私は1番に心配しているのは.....ご両親。.....相当に心配していると思う。嫌われているって話しても.....だよ」


この言葉に.....沙穂から言葉が消えた。

俺は.....皆野を見つめる。

そして.....少しだけ俯きがちで話す。


「.....皆野。沙穂はマジに行く場所が無いんだ。今はこの場所に居ないと駄目なんだ。じゃ無いと.....こいつは危なっかっしいから。状況次第で.....この生活をどうにかする。俺は大人だから.....大丈夫だ」


「.....小五郎くん.....」


皆野は言葉に。

分かった、今だけは目を瞑るよ。

でも.....何時迄も.....一緒には居られないと思うよ。


そんなに世の中上手く行く感じじゃ無いから、と話した。

確かにその通りだと思う。

俺は.....曖昧だったけど.....こう答えた。


「.....責任は全て俺が持つ」


この言葉に重みを持たせたのだが。

皆野は.....何故か首を振った。

俺は?を浮かべながら見ていると。

皆野は胸に手を当てた。


「.....駄目。私にも責任.....持たせて」


「.....は?.....は?何でお前が.....?意味が分からないんだが。これは俺の問題だ」


その様に言うと皆野が少しだけ顔を赤くした。

そして.....俺を見てくる。

何でこの場所にやって来たか分かる?と口をモゴモゴさせながら言い出した。

いや.....俺といっしょに飲みたいからだろ?

と思っていたのだが.....皆野は予想外の回答をした。


「.....私が.....小五郎くんの事が好きだからだよ」


「.....は.....」


目が思いっきり見開いた。

今なんて.....と思っていると。

皆野はちゃぶ台から身を乗り出した。


「結構.....アプローチしているんだけど.....気が付かなかった?二人っきりで飲みたいから.....来たんだけど.....まあ予想外の事態が起こったけどね」


いや.....え?え.....?

ちょっと待ってくれ。

俺は目を思いっきりに見開いて赤面した。

え?俺が.....好きってコイツ!?

そうしていると.....皆野が沙穂をまた見た。


「.....沙穂ちゃん」


「.....は、はい?」


告白に驚愕している沙穂に.....冷静な目で見る皆野。

そして.....眉をまた顰めた。

それから.....話す。


「小五郎くんは確かに信頼出来る。だから思いっきり頼って良いよ。.....でも貴方がもし大きな事で小五郎くんを潰したら.....絶対に絶対に許さないからね」


「.....はい」


「.....皆野.....」


そうしていると皆野が立ち上がった。

そして皆野は.....俺を見据える。

ビニール袋に入ったビール缶を持って、だ。

それから歩き出す。


「.....良い?小五郎くん。.....私は君は憧れの人なの。だから好きなんだから」


「.....!」


「.....でもそうは言っても。お邪魔だし今日は帰るね」


そしてビニール袋に入ったビールを台所に何本か置いて。

俺に控えめに手を振って.....ドアを開けた。

それから.....バタンとドアを締める。

俺は.....置いてかれたビールの缶を見ながら.....顎に手を添えた。

そして.....考え込む。



「.....えっと.....皆野さん.....良い人ですね。私と小五郎さんを心配してくれて.....」


「.....そうだな.....」


ただなんつうか.....かなり衝撃だったけど。

俺が好きだと言う事が、だ。

まさかの告白だったな.....。

思いながら.....改めて玄関から出る。

そして.....近所のスーパーに来た。


「.....それはそうと服を買おう。.....お前の好きなの選んでくれ」


「.....」


「.....どうした?沙穂?」


「.....いや、その.....胸がキューッとなるって言うか.....何でしょう?これ」


は?と思いながら沙穂を見る。

まさか心臓の病気なのか?

と聞きながら.....沙穂を見るが。

沙穂は.....首を違う様な気がしますと俺に振った。


「.....私、皆野さんからの告白を小五郎さんにしているのを見て。.....胸が痛いです」


「.....え.....」


だけど.....それとは多分、違うと思います、と言葉を切った沙穂。

それから、ささ。行きましょう、と導く。

俺は、.....あ、ああ.....、と言いながら歩いた。

強く引っ張られながら、だ。


「.....」


本気で違うのだろうか。

思いながらも。

違うと言う沙穂にこれ以上追求しても仕方が無いかと思い。

何も言わなかった。

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