第2章 恋人居るの?

第4話 同期

俺の会社は説明した通りブラック.....と言える。

とは言えど俺がブラックと思っているだけかも知れないが。

でもそれでも結構ハードなスケジュールだと俺は思っている。

その為にブラックだと思っているのだ。


朝9時出勤で午後20時ごろ詰め詰めで帰宅。

ほらな、結構キツキツだろ?

残業もかなりの時間、有ったりする。

そんな働くだけに生きている様な俺だがまるで砂漠のオアシスの様に可愛い女の同期が居る。

丁度、俺と同年齢の25歳の女性だ。


ゆるふわウェーブの髪の毛の.....栗毛色の髪の毛。

そして.....ニコニコしている少しの童顔の薄化粧の美女。

目がくりっと大きい様な、身長は163ぐらいか。


それなりに身長が高いと思う。

いつもラフな感じの服装の女性の同期。

この会社、服装だけは緩いから、だ。

思いながら書類を作っているとその同期が声を掛けてきた。


「おはよう。小五郎くん」


「.....ああ.....おはよう。.....どうしたんだ?」


「.....今日、やけにいつもより服装が整っているよね。ヒゲも剃っているし。それに顔に艶が有る」


皆野志帆(ミナノシホ)、25歳。

俺の同期入社社員。

物珍しい感じで俺を可愛らしく見てくる皆野にそんな日も有る、と答えた。

そんなもんなの?と言いながらニコニコしつつ鞄から書類を持って来る。

俺は?を浮かべて見る。


「.....お前.....この書類、明日までに仕上げないといけない書類なんだが」


「ごめんね。他の書類に手が回っちゃって。一緒にやって♡」


「.....ぶち殺すぞお前よ」


これが日常茶飯事だ。

何というかこの女、俺を手駒と勘違いしているんじゃ無いか?

俺は.....書類を受け取ってから書類を見る。

何だこれは.....。


盛大に溜息を吐いてその書類を見たりパソコンを見て交互に見比べて文章を打ったりしていると。

皆野が俺を見ていた事に気が付いた。

おい、仕事しろ。

思いながら.....皆野を睨む。


「.....本当に変わったね。って言うか髭剃ると格好良いじゃん。あはは」


「.....あのな。仕事しろ」


「.....はーい」


そして皆野は、熱心ねぇ、と言いながらデスクに戻った。

それから俺は直ぐに仕事に戻る。

しかし俺というこんなクソ真面目な奴だったらイベントは何も起きないだろうな。

何と言うかレベルアップも程遠いしな.....。


恋愛も何も起きないだろうし。

思いながら.....パソコンのエクセルを開く。

ああ、言い忘れたが俺の会社は営業な感じだ。

営業で回ったりする事も有る。

車の部品を売るのだ。


「あ、小五郎くん」


「.....何だよ今度は.....」


「こっちの書類、パラパラ見で良いのかな」


「.....ハァ.....」


全く集中が出来ない。

って言うか部長が睨んでいる。

良い加減にしろよな.....。

思いながらその書類を受け取りながら。

捲りながらチェックしていった。



「終わったね。.....あ、小五郎くん。お酒飲みに行こう」


「断る。ってか.....俺は用事有るから」


「えー.....この前まで乗る気だったじゃん」


「俺だって忙しいんだっての」


夜になっての会社終わり。

丁度、出口を出た所だ。

今日は残業が無い。


俺は.....ラッキーと思いながらそそくさと会社を後にする。

しかし皆野が絡んでくる。

何だよ.....。


「そんなに嫌い嫌い言っていたら友達も出来ないよ?ね?」


グサグサと痛い所を突くなコイツ.....。

思って額に手を添えながら盛大に溜息を吐いた。

そして近付いて行って皆野のデコを弾く。

皆野は><的な目をした。


「痛い!」


「.....あまり調子に乗んな。俺だって忙しいんだから」


「.....もう。分かった。.....じゃあ今度、飲みに行こう!」


「.....お前.....」


あのな.....俺の性格知っているのか?

考えながら.....ヤレヤレと首を振ってから。

じゃあ帰るからな、と皆野に挨拶して歩き出す。


そうしていると何だか風が吹いた。

葉とかが舞う。

俺はうわっと思いながら?を浮かべて横を見る。

そのタイミングが丁度なのかどうなのか分からないが皆野がモジモジしていた。

頬を少しだけ赤く染めている。


「あの.....小五郎くん」


「.....?」


「.....えっと、好きな人、居るの?.....やけに今日、変わった感じだから」


「.....?.....居ないぞ。そんな余裕無いんだが。何でそんな事を聞く」


そうなんだ.....分かった。

と反対方向に、また明日、とニコニコしながら嬉しそうに小走りで行く皆野。

全く質問の意味が分からなかった。

意味を解析したいが.....アイツ.....不思議人間だからな.....。

解析しても無駄かと思った。



「お疲れ様」


「.....結局.....生活用品、買ったか?」


アパートに帰ると.....沙穂が待っていた。

そう聞いたけど買っている様だな.....ってかそれは良い。


何か.....部屋中がやけに綺麗になった挙句。

料理がちゃぶ台の上に乗っていた。

なんでこんなに綺麗になっているのだ。

俺の部屋、相当に汚かった筈なんだが.....。


「お前.....部屋、片したのか?」


「そうです。私と.....小五郎さんが生活する部屋なんですから」


「.....そんなことしなくても良いんだけど.....すまない。手間取らせたな」


「.....大丈夫ですよ。私は.....働かざる者食うべからずと思っていますから。だから.....片したんです」


掃除の仕方も知っているとはな。

思いながら.....スーツを脱ぎつつ沙穂を見る。

そんな沙穂はスーツを受け取りながら手際良くハンガーに掛ける。

何だか知らないがこのままでは新妻の様に見える。

少しだけ赤面した。


「.....今日、小五郎さんが2万円くれて.....色々買えました。安く抑えましたけど.....本当に有難う御座います。お釣り.....後で渡しますね」


「.....釣りは要らない。お前が持っておいてくれ」


「.....え?でも.....そんな」


良いから。

何かあった時に要るだろ。

俺は言いながら.....少し座りたかったのでちゃぶ台の前に座る。

少しだけ首をストレッチの様に前後に動かしながら、だ。

沙穂はそんな俺に向く。


「.....有難う。小五郎さん」


「.....いや。当たり前の事にお礼を言われる必要は無い。お前は.....この家に居るんだからな」


沙穂は頷きながらニコッと笑む。

それを見ながら.....俺は口角を上げる。

そうして、風呂にでも入るか、と呟きながら俺は立ち上がった。

俺は聞く。


「.....服は買ったか」


「.....え?.....買って無いです」


「.....また今度買うか」


「.....え.....そんな」


言いながら、じゃあ入って来る、と俺はバスタオルと着替えを用意しながらと思った.....が用意されていた。

俺は驚愕しながら.....洗面所を見る。

沙穂の奴.....。

思いながら洗面所から顔を出す。


「.....ここまでやってくれるのは有難いが疲れない程度にやれよ。片付けとか」


「何を言っているんですか。.....私は.....当たり前の事をしているんですから」


「.....」


そうは言うが。

やり過ぎるのは体に良く無い。

俺が言える立場じゃ無いけど、だ。

沙穂の体が心配だからな。

俺は.....その辺りもきっちり指導しようと思った。


そして.....スーツから出したスマホを見つめる。

相変わらずのクソ親からの連絡は無い。

無責任すぎるな.....マジに。

クソッこっちが安否確認してんのによ。

思いながら.....俺は溜息を吐いて沙穂を見る。


「.....沙穂」


「.....はい?」


「.....色々と無理はすんなよ。.....やれそうに無かったら.....やるな。良いか。.....体を崩したら元も子もない」


「.....はい」


取り敢えず今伝えたい事を言う。

俺は頷いたのを確認するなり風呂に入った。

それから.....風呂の中で今後を考える。

沙穂がどう気楽に生活出来るかを、だ。

そして.....どう指導していくか.....ってか。


「.....九州の高校だろ。.....高校生活はどうしたんだアイツ.....?」


ふと、その様な事が頭を過ぎる。

制服を着ていたから.....高校生だと思うが。

思いながら.....俺はシャワーをずっと浴びたまま。

鏡に手を当てて立っていた。

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