タツヤ (2)

その日 僕は朝からうかれていた


晩ご飯で

クロがツナ缶の催促してきたから

しゃーねーなぁ と、もう一つ開けてやった。

ん?どっかに持って行ったぞ?

マリーの前で食うのかお前…

意地がわりーな



そろそろ予約した時間だ


チャイムがなる。

玄関に行って ドアを開ける

その先には女性がいた。


これ君が作ったの? ありがとう

今年のクリスマスは過去最高だよ

なんて話していると

クロが待ち侘びて ニャーニャー言い出したから、お礼を言って僕はケーキを受け取った。


僕はこの時 クロに急かされて 慌ててたのかもしれない

それとも クロもマリーもちゃんと食べれるケーキが 手に入って嬉しかったからかもしれない


玄関の戸締りを忘れた






なんだか変な気配を感じて

僕は起きた。


あんた誰だ!


僕はパニックになった。



マリーが僕の前に来たのに気付いた。

同時に男の舌打ちと

何か金属製のモノが落ちる音がした。


少し落ち着いてきたから

周囲の気配を感じようとする


男は? クロは?

マリーはここか。


マリーが僕を トイレに連れて行こうとした。


男の気配が遠ざかっていくので

僕は少しほっとした。

何かが飛ぶまでは。


窓の方へ何かが飛んで 僕はひきつる

アレは物じゃない


僕はマリーと共に 急いだ



手探りで探す

この辺りで間違いないはずと。


何か手に触れる

それはグッタリとした クロだった。




いつもなら

いつもなら ニャーニャー寄ってくるクロが

ピクリとも動かない


僕の役にたたない 2つの隙間から

涙が溢れて ポタポタ落ちる


違いが僕にも分かるほど

クロからどんどん熱が逃げていく

僕は大声で泣いた


もうどうしてよいか わからずに

僕はなんて言ったかも わからずに

ただ分かるのは

自分に悔しくて泣いた


この目さえみえたなら と。



マリーがぼくをひっぱるから

ぼくは されるがままにした


そのとき

ぼくはきけたんだ

最期のクロの


「にゃおん」


って声を。




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