死を見つめざるをえない人たちへ

「死んだら終わりだから、考えるだけムダだよ」などという常識的な言葉に納得出来る人間にこの物語は不要だろう。

どれだけ考えても、ほとんどその輪郭すら描き出されない我々の終着点『死』。
どんなに悲惨に見えても、正面から死と向き合う少年少女たちの魂を私は美しいと感じる。

作者がどれほど真摯に向き合っているかは、一文を読むだけで伝わるだろう。
これは、いまだ死体になれなかった私たちに向けた物語である。