「大人は汚い」

15歳の夏。

高校を選んでいる中で、定時制の高校が目についた。

定時制と全日制の違い。

①登校時間。

全日制は8時ごろに登校だが、定時制は17時ごろに登校と遅い登校になる。

②バイト。

全日制は高校側からの許可があればバイトができる。家庭の事情によるため基本的にはできないことが多い。定時制は基本的にバイトや仕事をしている人が多いため、学校の許可がなくてもバイトができる。

③勉強。

全日制はオール全般を勉強する。しかし定時制は進行が全日制に比べかなりゆっくりである。一年生の初期は中学生の復習から入った。

バイトをしながら高校に通える。

私の家は前にも言っていたようにシングルなので、お金が足りない。

自分の下の兄弟のことを考えて家のことを考えて悩んだ結果

家計のためにも自分のためにも定時制の高校を目指すことにした。

学校見学をしに行ったときに私は決めた。

定時制高校に入学すると。


家に帰り父親に報告した。

父は何も言わず、私の目を見つめていた。

私が父から目線をそらしたと同時にほほに鈍い痛みが走った。

父が私の頬をぶん殴ったのだ。

口の中には一気に鉄の味が広がり、自分でもびっくりするほどの涙が流れた。

父は殴った後に怒りに満ちた顔で怒声を浴びせてきたが、何を言われたのか覚えていない。

なぜ殴られたのか。

なぜそんなに怒られているのか。

なぜ私は泣き続けているのか。

父に怒声を浴びせられている間に一生懸命考えたが答えは出なかった。


次の日の朝、私の進路希望には家の近くの全日制高校の名前が書かれていた。

私は悔しくてやるせなくて進路票をグシャッと丸めた。

祖母に後から聞いた話では、これがいわゆる世間体のためだという。

世間体・・・。

そんなもののために私の夢は大きく崩されたのだ。

世間体のためなら自分の子供の将来なんてどうでもいいんだ。



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