高校生始めます

新しい出会いを

 通学時間を少しずらして、俺は家を出た。

 昨日の夜。俺の提案は、結果的には受け入れられた。

 勿論色々言われたが。

 

 取り敢えずルールとしては。

 一つ、基本は他人のフリをする。

 一つ、同じクラスになった場合、状況によっては今回の話を無かった事にして普通に過ごす。

 一つ、このルールは期限つきである。

 一つ、同じ家に住んでるのは何があっても口外禁止である。


 有り体に言えば、取り敢えず暫くの間は身内で仲良くするのでは無く、新しい交友関係を広げましょう。

 と、いった具合である。

 勿論、喧嘩したいわけでも、嫌いになった訳でもないのだから、ある程度したら学校でも普通に過ごしましょう。

 そんな意味合いの話である。


 最もこれは同じクラスになった場合は、難しい話になってしまうが。

 だってそうだろう?

 幼馴染みが同じクラスに居るのに他人の振りなんてしてたら、有らぬ誤解をされちゃうからな。


 だからこそ、このルールである。

 まぁ、最後の同じ家に住んでる云々は、俺が他の男子から恨みを買いそうだから、言わない様にお願いした形だが。


 次第に賑わう道。学生服を着た人が目立ち始める。

 見えてくるのは、これからお世話になる、学校。

 それなりの進学校であり、選択科目が豊富で、ある程度自分の好きな様カリキュラムを組む事が出来るのが、この学校の売りである。


 校舎は何度か舗装工事等をしてるとかで、比較的に小綺麗。

 敷地もかなり大きく取っており、都心に近い事を踏まえると、かなり頑張って確保した方だと思う。


 新入生はこちら、の看板と教員らしき人の案内を頼りに進むと、体育館が見えてきた。

 

 メインの入り口付近には、クラス表とこの後行われる入学式の席順が書かれて案内表が貼り出されている。

 

 俺のクラスはーー

 六組。どうやら俺らの学年は一〜六組までに振り分けられているようだ。取り敢えず同じクラスに里香と翔子の名前がない事を確認して、俺は中へと入った。


 バスケットコートが三つ並んだくらいの広さ。

 体育館特有の高い天井を、並べられたパイプ椅子に座りながら見上げる。


 考えるのは里香と翔子の事。

 二人なら大丈夫、大丈夫。と、自分に言い聞かせながらも、どうしても心配してしまう。

 あんな田舎の限られた人としか関わらない様な所から、いきなりこんな知らない人だらけの所で、上手く立ち回れるかどうか。

 元々コミュニケーション力の高い二人だ。田舎でも町中の人気者で、老若男女に関わらず誰とでも仲良く出来るような子たちだ。


 むしろ心配すべきは自分の事か。


「はぁ〜」

 思わずため息をついていると。

「おいおい。入学早々ため息とは、しけてますなぁ」

 いつの間にか隣に座っていたのか。

 少し気怠そうに足を組みながらコチラの様子を伺うーーイケメンが、そこにはいた。

「うわ、イケメンだ」

 思わず声にでた。

「いや、第一声がそれは、反応に困るんだが……」

「あぁ。悪いな。いきなりだったもんで」

「いや、まぁありがとよ。ってかお前もカッコいい面してるけどな」

「ははっ。お世辞でも嬉しいよ」

「別にお世辞じゃねーけどな」


 肩を竦めて、戯ける彼は、握手を求めるように手を差し出す。

「木戸瞬だ。よろしくな」


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 いつも読んで頂きありがとうございます。

 しれっと新章? に入りましたが、やっと高校生にしてあげられました(笑)

 今後ともよろしくお願いします!

 そういえば、今書いてるもう一つのシリーズでも、ファンタジーモノではありますが、しれっと女の子と同居する話だったりします。

 

 これは……私の願望……なの?

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