第20話告白

こんなにも異常な精神状態が続くと仕事にも支障が出るし、当時通っていた英会話学校も休むようなこともあった。

僕を見かねた友人の太田君が、「自分の気持ちに区切りをつけるために彼女に告白してみてはどうか」と提案してきた。


彼としては、僕が友里にハッキリと好意を伝えることで僕の嫉妬に起因する異常な精神状態が解消されるのではないかという思惑があったようだが、僕は流石に妄想疲れを起こしていたので、ハッキリと断られることで、彼女への想いを断ち切ることができると考えて、その提案を前向きに考えていた。


僕(小池真人)の人生で初の告白となるので、自分にとって勇気の要ることではあったが、ハッキリと断られれば、また別の道へ進めると考えると悪いことばかりでもない。


断られる事が前提でもあり、貴重な時間を友里に取らせるのも申し訳ないので、直接会って伝えるのは止めて、電話で伝えることにした。

この年齢にもなって情けない話だが、公衆電話ボックスから側に太田くんが居る状況で友里に電話をかけた。


友里が電話に出ると、少し世間話をした後に「あなたのことが好きです。付き合ってください」と伝えた。僕は反射的に「ごめんなさい」の言葉が返って来ると思っていたが、友里は「断ったら、もう友達ではなくなってしまうんだよね」と言ってきた。

僕はとしては想いを断ち切るのだから当然「そうだね」と応えるしかなかったが、友里は何故か友達としての関係が切れるのは嫌だったらしく、結果的には返事を保留にされてしまった。


良く考えてみれば、この年齢での告白は結婚を前提とするのも同然なので、彼女としてもそこまで考えていたかどうかはわからないが簡単には返事をできなくても仕方ないかとも思うが、僕にとっては何とも中途半端な状況になるわけで、今度はいつ返事をもらえることになるかを悩むことになるのであった。





--------------------

良く考えれば、ほとんど脈なし回答だと思うのだが、経験の少ない自分は少し期待してしまったのですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る