　眩い光に包まれ、気がつくと僕はマップの一つであるサマーストリートにきていた。サマーストリートは青い海の広がるビーチ沿いの商店街を太陽が燦燦（さんさん）と照らすステージだ。時間によって様相を変える商店を壁や台として、いかに上手く利用できるかが鍵になる。

　ルールはフラッグ。

　それにしても、普段まったくと言っていいほど運動しない僕がこの体になったからといって、思ったように動けるのだろうか。やるしか、ないけれど。

　空砲が鳴る。試合開始だ。体は……思ったよりもずっとよく動く。動かそう、と思って動くわけじゃない。どういうわけだが脳内で僕はコントローラーを握っていた。どのボタンをどの手順で押すか、グリップを捻るか、想像するだけで体が勝手にひっぱられてその動作をする。

「いこう！」

　強い確信を得て、開始地点に最も近いフラッグを玲音に任せ、ヒメと共に最前線へ向かう。素早く対峙し、相手をキルする為だ。

　目を凝らすとマップ中央のエリアに相手チームのメンバーが一人立っている。現環境有利武器の一つスターボンバー（中距離爆弾）をこちら目掛けて投げてきた。

　直撃しなくとも凄まじい爆風でダメージを与えてくるスターボンバーは攻防どちらもこなす万能武器だ。

「危ない！」

　ヒメが小さなスクールバッグから自分の身長くらいあるブタのストラップ付きペンを取り出す。僕の前で空（くう）に弧を描くと、そこに虹色のシールドができた。

「っ〜！！」

　二人とも直撃は免れたものの、凄まじい爆風がヒメにダメージを与える。僕はヒメのシールドに守られ無傷だ。

　ヒメのつくってくれた機会を逃すわけにはいかない。僕はスニーカーに備え付けられたブースターで高く飛び上がり、そこから斜め下の中央エリア目掛けて大回転。

――くらえっ！

　相手の投げたスターボンバーを既の所で避け、着地。相手の顔を狙って、素早く弾丸を打ち込んだ。

投げてから爆発までに時間の掛かるボンバー系武器に効くのは、テクニックが物を言う短射程武器だ！　

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