9話 異世界だってファンタジーとは限らない。


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フランゼ王国 東ケルン城午前10時48分37秒

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素晴らしき異世界ファンタジー








のはずだった。




「どぅおおおおっしてだ!!」




何故!?何故中世でない!その上周りは敵だらけ。本当にどうしてだ!




「「「「如何されました?ヨシフ様。」」」」




如何もクソも有るかっ!古過ぎる、時代が古過ぎるのだ!



普通異世界召喚や異世界転生と言ったら中世ヨーロッパのオシャレな世界観が王道だろう。


だがここはそうではななった。


城は石造りで狭く薄暗くまるで地下牢のそれだ。



街並みものどかとは言えばそうだがレンガ造りのイメージしてた物とはかけ離れている。



泥で作ったような不出来な漆喰に雨漏りしそうな板葺屋根。


理想と現実が全く違うとはこの事か。

畜生めっ!



しかしだ、落ち着け。

落ち着くのだクジョウ・ヨシフル。



曲がりなりにも俺は騎士になった身だ。


慌てふためいて居ては評判が著しく低下するやも知れん。


そ……そうだっ、俺の聞き間違いかも知れぬのだ。もう一度聞こう。




「あ…改めて尋ねる。今は何世紀だ?」




どうやらこの世界にも西暦が王国暦とは別に有るらしい、そのお陰で不運にも分かってしまったのだ。




「「「「西暦370年にございます。」」」」




4世紀後半だ。


中世にすらなっておらん。


中世とは5世紀から15世紀までの時代を指す。


そんな事、高校時代に世界史を取らなかった俺ですら知っている。



更に北にはアングロサクソン、南には滅亡しなければ中世が始まらぬ西ローム帝国なる物まで。




全くとんでも無い国家に囲まれた挙げ句、国内は分裂だと!?




「あ……頭が痛くなる思いだ。」




事の発端は城内を案内して貰っていた時に遡る。

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