8話 騎士ヨシフ・フォン・ロンドベル


「"共犯者"ですか。」



「そうじゃ。"共犯者"じゃよ。おぬしにも何か望みが有るからこの世界に来たのじゃろう?尋ねたりはせぬ。じゃから、その条件が噛み合う内はわしに協力してくれい。まあ家臣に示しが付かぬ為、形ばかりは騎士の誓いを交わして貰うがのう。約束じゃ。事が上手く運び、わしが王になった暁にはおぬしの願い何なりと叶えよう。」




約束だと?

この爺さん抜かりがないな。

口約束で済まそうとして来るではないか。

そんなのではダメだ。




「いえ、約束では足りません。騎士の誓いと共に契約しましょう。そして相応の地位と権力が望めるのであれば御意に従い素晴らしき"共犯者"になって見せると確約いたします。」




カロルド・フォン・フランゼ国王はスタッと玉座から立ち上がるとこちらに近づいて来る。




「全く、抜かりが無いのう。改めて尋ねる!我が共犯者よ、名を何と言う!」



「はっ!俺の名はクジョウ・ヨシフルと申します!」



「左様か!ではこれより騎士の誓いを交わす。膝まづくのじゃ!」



俺は即座に膝まづき頭を垂れる。これで夢に一歩近づくのだ!


この王を利用して権威を手に入れ、ゆくゆくは領地を足掛かりに近代民主国家を建国するのだ。



カロルド・フォン・フランゼ国王は腰から騎士剣を引き抜くと、きらびやかに耀く鋼の切っ先を俺の右肩に乗せる。




「問うぞ、クジョウ・ヨシフル。我が志、我が夢の為、共犯関係が成立する限り我が剣となりて、いついかなる時も我が為に戦う事を誓うか!」



「はっ!この命!我が信念に掛けましてっ、陛下に捧ぐ事を誓います!」



「あいわかった!それでは共犯者、クジョウ・ヨシフルに真名を授ける。今日より貴様は『騎士ヨシフ・フォン・ロンドベル』じゃ。よいな!」




ヨシフ………。出来るのならばそんな赤い大地に聳え立つ偉大な書記長の名前はやめて欲しかった。




「陛下、ロンドベルとは一体何処から?」



「気にするで無い。今は捨てたわしの真名じゃ。」



「はっ、有りがたく!」



「これで契約は成立じゃ"共犯者ヨシフル"よ。正式の面では騎士名を名乗る様に。良いな?」



「承知致しました。」



全く疲れたぞとでも言わんとする雰囲気でドサッと玉座に座り込むカロルド・フォン・フランゼ陛下。




「騎士の誓いなぞ久し振りじゃからな。興が乗ってしまったわい。すまぬが飲み物を運んで来てはくれぬか?」




カロルド・フォン・フランゼ陛下は隣でずっと立っていた娘と思わしき美少女に申し訳無さそうに頼む。




「分かりましたわ、お父様。今、取りに行くのでお待ちなさって下さい。」




そう言うとスタスタと王の間を退室し飲み物を取りに行った。




「美しい娘じゃろう。我が娘のマチルダじゃ。」



「えぇ、とてもお綺麗で。」



「ヨシフルに言って貰えるとわしも嬉しい。」



そう満足気に言ってカロルド・フォン・フランゼ陛下は「パンパン」と手を叩く。


すると王の間の扉が開き4人の使用人の女性達が入って来た。


皆、黒とピンクを基調としたフリルのエプロンを来ているメイドだ。




「新入りじゃ。まだわからぬ事が多いじゃろうからこの騎士ヨシフを城の隅々まで案内してやってくれい。そうそう、部屋は北門側に空いていた部屋が幾つかあったはずじゃから個室として好きな所を選ばせてやるんじゃぞ。良いな。」



「「「「はい。陛下の仰せのままに」」」」




素晴らしきかな異世界ファンタジー。かっこよく騎士何て称号も貰た挙げ句、可愛いメイド達に囲まれる何て。


でもリリーヤ・ブルジアちゃん、そんな冷たい目で俺を見ないでくれるかね?


心を読まれているお陰で迂闊に煩悩すら許されないとは案外ハードモードなのか。




そんな事を考えながらメイド達に連れられてカロルド・フォン・フランゼ陛下の前を後にするのだった。




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後書き


どうかレビューを下さい………。

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