エピローグ

 慧が日本を発ってから、一ヶ月が経っていた。

 もう夏休みも終わっていて、前期期末テストを最高得点で終わった。

 夏休みが終わったときに、先生から慧がアメリカに行ったことをクラスメイトに伝えていた。

 みんな寂しそうにしていたけど、十月にやる文化祭のクラスのアトラクションが本格化した。

 わたしも文芸部の展示と部誌の制作準備と大忙しだった。

 忙しくなるにつれて、なかなか手紙を書く時間が作れなかった。

 そして、わたしは午後五時半に部活を終わらせて、いつも通りにスマホを見ていく。

 そのときにLINEのトークページを見て、慧とのトーク履歴を思わず見てしまう。

「あ……ついつい、開いちゃうな……」

 そのときにわたしはすぐに家に帰る。



「ただいま~」

 家に帰ると、母さんに手紙が来ていることを言われた。

 急いで部屋に戻ると、勉強机に置かれている封筒を見た。

 それはエアメール用のもので、わたしは見てからドキドキしていた。

 差出人を見ると、慧からのものだった。

「慧からだ! 来た」

 封を切って、そのまま便せんを開いた。



 蒼空へ


 元気にしてるか?


 そろそろ手紙を書かないと、蒼空も心配するかと思って書いてる。


 こっちでの生活は結構大変だよ。

 現地の高校に通い始めて、かなりカルチャーショックを受けてるよ。


 こっちの高校はクラスメイトには年上とか年下とかもいて、人種とかも異なるから別世界に思えるんだ。


 あと、ディズニーリゾートは思ったより近くて、車で一時間くらいで行けることがわかったよ。


 また、書くね。

 それじゃあ。

                  慧

追伸

 写真を現像したから、送っとくね。



 わたしは封筒に入っていた写真を取り出した。

 それは浴衣姿の写真で、あの花火大会の帰りに撮ったものだった。

 わたしは写真に写る慧の表情を見ると、自然と笑ってしまう。

 慧が帰ってくるまでは文通をしたいと思って、わたしも買った便せんを出して手紙の返信を書き始めた。

 同じ空の下で繋がっていると、慧が話してくれた。

 その言葉をお守りにして過ごそう。







 ――いつか、また会うその日まで。

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夏空 須川  庚 @akatuki12

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