第三楽章【アクアヒルス国】

第22話【幸】

旅立ってから3日後、ようやくアクアヒルス国に着いた

一つの国のはずなのに門は開いていてる

辺りも荒れに荒れ、草も沢山生えていた

門番も居なく、入国手続きが出来そうにない

「入国手続きは……大丈夫かな……」

ヨルナミはあたふたていたがワタは「多分大丈夫やろ! 行こいこ」といい引っ張っていき2人はアクアヒルス国に入る


街に着いたが全く活気が無くどんよりとした、とても静かな空気が流れていた

時間はまだ六時課なのに人は街に出ておらず家の明かりもついて居らずとても不安を煽る

どうしたんだろう……本当に見ても見ても人が居ないし……

人影もなければ動物の気配もない

ゴーストタウンとはまさにこの事なんだろうか

キロルが言ってたのはもっと人が生き生きしている所って言ってたのに何があったんだろう

街を歩いているといきなり「離してください! 何度も言いますがあたしは妻になんかなりません! 」と女性の叫び声が聞こえる

「なんか悲鳴が聞こえた! 助けたら話しが聞けるかもしれない! ヨルナミ! 急げ! 」

ワタに言われた通り2人は走っていってみる

すると男性と女性がすごく揉めていた

女性はスーパーロングの青髪で今にも泣きそうな目をしていた

男性は下劣な表情で目がとても笑っており、

頭と同じぐらいの王冠を被っていた

女性はとても嫌がっており、男性は無理やり連れて行こうとしていたのだ

「ちょっとそこのお兄さん、女性が嫌がってますよ? 」

ワタは少し強めに話しかけた

その男は下衆な表情を剥き出しにし、何故かは分からないがヨルナミにそっくりだった

「はぁ? ? ? 俺っちに口答えする気か? 俺っちはこのアクアヒルス国の王子ぞ?

ゲスゲスゲス」

「王子なら国民を導くんじゃないのか?

「は? は? は? 国民は俺っちたちのおもちゃでゲス! 街に住まわしてやってるのだから言う事を聞くのは当然でゲスよ! ゲスゲスゲス」

ワタはその王子が言ってる事にイラだったのか少しキレた様子だった

「は? 王子だからって国民に危害を加えるのは違うだろうが! このゲス野郎! 」そういい、ワタは王子を殴る

丸々と太った体とは裏腹に思ったよりも遠くに飛び地面に叩きつけられた衝撃で歯が1本飛んでいた

取れた歯の部分を抑えながら

「はぁ~? ? ? 俺っちを殴ったな!パパ様に言い付けてやる! お前らを殺してもらうからな! 覚悟しとけ! ゲスゲスゲス 。それとお前は……何もないでゲス! さらば! 」

王子は走ってどっかに走って逃げていく

ヨルナミに対して何かを言いたそうであったがヨルナミは何も気がついて居なかった

兄弟なのか……分からない……

そんなことよりこの女性は大丈夫なのかな……

「あの……大丈夫ですか? 」

と声をかけてみた

「……ありがとう……ございます……。助けていただいて……。ここじゃなんですから……着いてきてください……」

とても口数の少ない方だな。でもとりあえず落ち着かせよう

そっちの方がこの方にいい気がするし……

2人は町外れにある小さな小屋に案内され連れていかれた

女性は少し落ち着くと話し始める

「助けていただいて……ありがとうございます……。あたしは幸です。」

幸さんか。とりあえず話を聞こう

「あなた方の……名前は……? 」

「僕はヨルナミ。ヨルナミ=ユナミ。この人はワタ。ワタワタ・イヒ・タト」

幸はユナミと言う言葉に少し反応をした

「ユナミ……どっかで聞いた事あるような……」

小声で言ったのか、少し聞こえなかったがとりあえず話を聞こう

「えーと、なんであんな人に絡まれていたのですか? 話せる範囲でいいので、教えてください」

幸はあたふたしながらも話し始める

「あれは……今から2年前です」


あたしは街に買い物をしていました。その日は国王と王子も買い物に来てたそうです

そこでたまたま王子が迷子になってるのを見つけて声をかけました

今となっては声をかけたことは後悔しています

その時、歳も近いのか何故か一目惚れをされてしまい妻にならないかと言われました

あたしは王子でもとりあえず興味がなかったので断りました

でも次の日から毎日言われ続け、最初は断ってましたけど10回目ぐらいからうざくなりました

それでしばらくは街には行かなかったのですけど、本日どうしても用事が出来て行ったら遭遇してしまい、もうダメかと思ったらあなた方が助けに来ていただけました

本当に助かりました


1連の話を聞いてみて改めてこの王子はやばいと改めて思ってしまった

「あたしは……今年で17なのですが……同い年らしく……大変です……。」

どうやら僕と同い年のようだね

あの王子は……双子? そんなわけないか

「僕達に出来ることはない? とても困ってそうだし、力になるよ」

幸は驚いた様子で少し悩んでいた

そして、申し訳なさそうな顔である言葉を口にする

「あの王子を……殺して欲しいです……」

殺す! ?

「え?! でも……」

予想外の事にヨルナミは驚く

ヨルナミが断ろうとしたらワタが口を挟んだ

「ヨルナミ、断る事は無いんじゃないの? もしかしたら俺達はこれから命が狙われるかもしれないし」

「確かにその可能性はあるかもしれない……でもそしたらあのザンロとしてることは同じじゃないのかな……」

「確かにそうだ。でも、目の前に困ってる人が居るのだったら助けるのは当たり前じゃないのかな。俺は人を助ける為なら殺し屋にだってなる」

「君には負けるよ。」

「ああ、頑張ろうぜ相棒」

「おう! 」

とりあえず2人は城に入ろうと考えた

「それなら……これはあたしが作ったのですが……この国で使われてる甲冑です。上手く顔は見れませんし……お使いください」

これならバレないかな……

とりあえず着て城に行こう。そこのどっかに隠れて……

「お城は……毎日お昼頃に王子が出てくるので、その時を狙って……」

とりあえず幸の話を聞く


明日のお昼頃に城が空く

その時兵士と入れ替わって入って夜に怪しまれないように殺すという作戦になった

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