第21話【新たなる場所へ】

キロルの葬儀が終わり3週間が経とうとしていた

冬が終わり、馬やロバが新しく生え始めた草を探しに道を走る

とても暖かく花が咲き誇っていた

ヨルナミとワタはアクアヒルス国に行く準備をしており、翌日にはいよいよ出発をしようと準備をしていた

「本当に行くんだね。2人とも」

ライチは話し掛けてくる

「二人で決めたことだからか」

「そうだね。寂しくなるね」

2人はしばらくの間話していた

「ヨルナミ! キロルの墓行くぞ! 」

ワタがヨルナミを呼びに来た

旅立つ前日に一応キロルの所へと行くと2人は決めていたからだ

「分かった! 今行く」

ヨルナミは部屋を出ようとした

「待って! 」

ライチが呼び止めた

「どうしたの? 」

ヨルナミはライチの方を見る

するといきなりライチが迫って来たので少し怖くなって目を閉じる

ある意味、目を閉じたのは正解だったのかもしれない

ヨルナミの唇に少し柔らかい何かが当たる

当たった後すぐにライチは無言で部屋を走って去っていった

何がしたかったんだろう……

とりあえずワタのところに向かわないと……


「とりあえず歩こうか。こっから地味に遠いし。空いてるか知らんけど」

何も考えずに提案をしたのが丸わかりだった

ワタは珍しく髪を整えており、花束を持っていた

門を遠目で見たら閉まっている

「ワタ……何か考えてから行動しようよ……」

「俺がそんな風に見えるか?」

「いや、そうとは思わない」

「もう二年ぐらいだもんな」

「そうだな」

「色んなことがあったよな。しばらくこの国とはお別れか」

「そういやお城の事は?」

「お城はとりあえずお姉ちゃんに頼むことにしたよ」

「了解」

2人が話していると教祖の墓がある霊園に着くと

不思議なことに何故か閉まっていると思っていた門が開いていた

誰かが入ったのかな

「なんか門が空いてるぞ……入ってみるか」

2人はとりあえず入ってみた

不思議なことに誰も居ないはずだが誰かが居る雰囲気がする

「キロル……? 」

ワタとヨルナミは謎の気配の中にキロルが居るように思えた

「ヨルナミ。確かお前キロルの骨持ってたよな? 」

いきなりキロルの骨の事を聞かれた

「うん。このペンダントに入れてる」

ヨルナミは自分の持っているペンダントをワタに見せる

「その骨を俺にくれないか? 勿論、お前次第だが。キロルの部屋から出てきたペンダントをナロルに貰ってな。この中に入りそうだから少しキツキツの所よりそっちの方がいい気がする」

確かにこっちの方がいい気がする

ヨルナミのペンダントはギリギリ入るように隙間がなかったからだ

「分かった。んじゃこれな」

ペンダントから骨を取りだしワタに渡した

「ありがとよ」とワタは言い、ペンダントに入れる

そしてそれを自分の首に掛けた

「ヨルナミ、これ入れみたら?」とワタは1つ紙を渡した

城に乗り込む少し前、4人で撮った最初で最後の写真

「そっか、これあったなでもこれ1枚しか無いよ? いいの? 」

「ああ、俺だけが持っているのはあれだからな。これでいいだろう」

「おうよ」

2人はキロルの墓の前で話していた

あの時、共に居た時のように

「キロル。見守っといてくれよ」

ワタが言う

「キロル。一緒にいた時は忘れないからね」

ヨルナミが言う

「お前ら泣くなよ」

キロルの声が聞こえた

「分かってるよ。僕らは君の分まで生きるから、静かに眠っていてね」

キロルの墓に花束を供えた

「また来るからな」

こうして2人は墓を後にした


その夜ヨルナミはギターのメンテナンスを行っていた

その時ふと思った

今までは弦1本1本は太さも変えず弾いていたが太さを変えればどうなるのだろうと疑問を抱いた

弦の太さを変えたらどうなるのかと

ヨルナミはとりあえず余りの弦をいちばん右側にある弦に巻き始めた

気付いたらそれが楽しくなっていた

最初は1本にしようと思って巻いていたが2本、3本になっしてまっいる

2本目は糸を二重にして、3本目は1本を主軸に2本巻いた

その作業が終わり、何となくギターを弾いているとナロルが入ってきた

「ヨルナミさん……それはなんですか?」

初めて見る物に興味があったそうで色々と聞いてくる

ヨルナミはギターを説明をして、世界にこれを広めたいと話した

「いいですね。自分も協力します。自分は教祖なので役に立つと思います」

「ならいいんだが……どうするんだ?1個しか持ってないよ?」

「絵を書かせてください。それを作り広めます」

「おっけ。なら、旅立つまでに返してくれ」といいヨルナミはギターを渡した

「必ず貴方様の夢を必ず……」

ナロルはギターを借りて部屋を去っていった


気が付いたら朝課に差し掛かっていた

「やっべ……寝ないと……」

ヨルナミはそう思い眠りに着いた


翌日、2人はアクアヒルス国に行く為、出国をしようとしていた

アクアヒルス国までは歩いて3日かかる程大掛かりな旅立ちなのだ

「いよいよか」

「そうだね。これからどんなことが待ってるんだろうね」

「分かればいいな。お前の過去」

「うん」

2人が話しているとナロルとライチがやって来た

「姉ちゃん、城のことは任せた」

「分かってるよー! 」

「お二人様のためにアクアヒルス国までの地図を用意しておきました。お父様の書籍にあり、ライチちゃんに隠してもらい葬儀が終わった後お二人様が分かりやすくする為に紙に書き写しておきました。どうかご無事で」そう言われ地図を渡された

とても分かりやすいものだった

「ありがとう。僕らも気を付けて行くから大丈夫。いつになるかは分からないけど、必ず帰ってくるね」

「うん。待ってます。必ず貴方様の夢が果たせるようにも」

ヨルナミとワタは2人に見送られながらアクアヒルス国に旅立って行った

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