第2話【残忍な王】

ここがお城か。いつも孤児院の窓から見ては居たけど、近くで見るとこんなに大きいんだな……

「開け」と兵士さんが言うと城の門が開いたのだった

そこから兵士が一人でてきていた。歳は少しシワのよった30代後半ぐらいの男性だった

城の中の人の目はみんなとても人間じゃないと言わんばかりに生気と活気を失い、輝きがなかった

ここの兵士はみんなそんな目をしていたのだった。若い人やもちろんこの案内をしてくれている兵士さんも輝きというものがなかった

「坊主、ここに来るのは初めてか?一応名乗っておくよ。名前はマシュー・アンダンキ。自分で言うのもあれだが、この城で一応いちばん強い男さ。」

声は少し暗かったが何とか元気はあるそうだ

それでも、どこかに悲しみや苦しみを背負っていそうな目をしている

歩いていると思っていた以上に活気が無く、どんよりとした空気が漂っていてとにかく気味が悪かった

「なんで、こんなにお城は雰囲気が暗いのですか?」

暗いことを疑問に持ったヨルナミはマシューに状況を聞くことにしてみよう

「ああ、それはな……国王が20年前、変わったんだよ。性格諸共。それでずっと世に言う暴君みたいになって、疲れている訳。」

20年前……僕が生まれる少し前か

そんな中、ここでは大変な事が起こっていたのか

もし、この国王を説得出来たら、世界は平和になるのかな……

期待を少し持ちながらもマシューに付いて行っているとと王室の間に着いたのだった

ドアはとても大きく黄金により輝いていた


王室の中もとにかく金で装飾されており上にはでかいシャンデリアがあり、大きさに圧倒されるほどだ

しかし、不思議な事に窓と鏡が一つもなかったのであった

玉座も当たり前のように金で装飾されていて、それは王室の中で一際目立つ存在だった


しばらくの間待っていると「国王様のおなーりぃぃぃ!!!」と兵士が大声で叫び、1人の大男がドアを蹴りあけ、ゆっくりと入ってきた

その大男は欲にまみれ、貪欲の成り下がりのような目をしている

容姿は国王とは思えない程不潔感があり、髪の毛と髭が長年放置された雑草のようにとても伸びてドスの効いた黒いような声でヨルナミに話しかける

「貴様が噂の者か。」

まず、初対面で貴様は少し失礼だなって思ったけど、20年前変わった時を堺にら温厚だった性格も一変してしまったようだ

「はい、そうです」

「名はなんて申す?」

名前を聞かれた

「ヨルナミ、ヨルナミ=ユナミです。」

「ヨルナミか……ほぅ……」

国王はニヤリと笑い、さらに漆黒に染ったような声でこう答えた

「貴様の持っている新しいものとやらを見せてみろ」

そう言われ、取り出してみる

「ほう……それか。なら弾いて見せろ」

と言われ、いつも弾いているようにドレミファソラシドと出してみると国王は驚いたのか、興味を持ちこう言う

「その音に合わせてわしのいい所を言ってみよ。教会で流れるような賛美歌のようにな…」

ニヤリと笑いながら言う国王だがいい所……いい所……なんだ?全く思いつかない

困惑しているとマシューが近寄ってきて耳元でこっそり呟いた

「お世話でいいから、適当なことを言ったらいいよ。でも、決して機嫌を損ねたら行けないぞ」

マシューさんに言われた通り、僕はドレミファソラシドと流しながらこう言った


国王様は素晴らしい。

この国のため、未来の為、素晴らしい政治を納めている。

この国王様なら、世界はきっとひとつになる


言われた通り、お世辞を思いっ切り込めて言った

すると、場の雰囲気が一瞬、変わる

何が起こったのか分からない

周りを見渡してみるとシャンデリアが揺れていた

軽い地震が起こったのかなと思っていると

バタッ!

思いっきり人が倒れる音がした

周りをよく見てみると国王が倒れていたのだ

「国王陛下!? 」

兵士たちは驚き、国王に駆け寄る

「わしは……大丈夫だ……その者は危険だ! 引っ捕らえよ! 」

いきなり何を言うかと思えば……そう思っているのも束の間だった。気付いたら兵士たちが周りに集まっており、縄で巻かれ身動きが取れない状態になってしっていた

「その者を牢屋にぶち込んどけ!」

牢屋に入れられることになった


牢に向かって歩いている時、僕はマシューさんに出来事を聞いてみることにした

「……一体、なにが起こったのですか?まだ、状況が把握できてないのですけど、わかる範囲で教えてくれませんか?」

そう聞くとマシューは少し苦笑いをしながら答える

「あー……多分な、国王陛下は持病の悪化が原因なんだろうな。病気を20年前に発症なさってから外にも出られなくなり、窓や鏡も無くしてしまったんだ。国王陛下の問題なのに人に押し付けるのは酷いもんだろ」

確かに、酷いなと思いながら話を聞いているといきなり

「おーい! マシュー! マシューは居らんか? 」

国王がマシューを呼ぶ声が聞こえ走っていこうとする時にこう言った

「悪い、呼ばれたから行ってくるわ、とりあえずこの牢屋に入っとけ。後でこっそり逃がしてやるからな」

そう言うとマシューは国王の所に向かったのだった

その後、マシューが現れることはなかった


ある大きな一室に呼び出されたマシュー

何故呼ばれたのか分からないまま国王が入ってきた

「マシュー、貴様。わしを32年もの間、騙していたのだな。」

いきなり理不尽なことを言い出した国王に対し、驚きを隠せないマシュー。

「いいえ、裏切ってません。」

少し声を震えさせながら言った

すると国王はマシューの耳元で囁く

「それなら、あの者の耳元で何と言った?」

「それは……」

「貴様はわしを騙し続けていた。それは死に値する」

いきなりの死刑宣言にマシューの膝は震えが止まらなかった

「くっ……こうなったら!」

マシューは国王に抵抗しようと思い、剣を抜いた

そして国王に斬り掛かる

「決まった!」

誰もが国王を殺せた!そう思ったのも束の間だった

マシューが気づいた時には逆にマシューの体は真っ二つになっており、出血も酷いことになっていた

「な……ぜ……」

マシューは自分に起こった事を把握するのに時間がかかっていた

「なら、冥土の土産に教えてやろう。」

と国王はマシューの耳元であることを呟く

「ほほう、なるほどね」と納得した直後マシューの首は斬られ、マシューを殺したのであった

「この者の首はきちんと晒しておけ!いいな!」


ドアの隙間から青年が様子を伺っていた

青年は涙を流しながら「あのマシューが……」そう思いながら悲しみにくれていた

そして、青年はマシューが助けようとした少年、ヨルナミの所に向かったのだった

「マシュー、お前の意思は俺が継ぐから、安心して眠っといてくれ」

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