第12話 皐月

さて、まさにこの話を書いている時はちょうど、新社会人が未知なる敵−《社会》というものを知り始め、戦い方を模索し始めた‥という頃合いではないだろうか。


この時期になると、僅かな不安と期待を目に秘めた若いエネルギーを感じると、嫌でもあの悪戦苦闘した葉桜の頃を思い出すのだ。


社会という荒波に直面し、流されかけたからこそ得られた知識や感覚というものがあったように思う。


だが、私はを振り返ると説明し難い爽快感と共に、苦い思い出が金魚の糞のようにくっついてくるのだ−

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