第41話 母性

顔を真っ赤にし照れながら言う隼人の姿にキュンとして、顔をそらす真白。


「あの…。無理なら断ってもらってほしいんだけど。」


真白は、何も言わずに隼人の頭を抱き寄せて言った。


「いいですよ。頼ってくれてありがとうございます。」


いつも隼人に頼ってばかりで、何もできていなかったということが少なからず真白の中にあったのだ。

その時に、隼人からのお願いだったので少し驚いてしまったのである。

それに、隼人がお願いをしている姿がとても可愛くて、いつもの隼人に見えないぐらいのギャップがあったので、真白の中に眠っていた母性本能を擽られたのだろう。


「ありがと。」

「では、もう遅いですしそろそろ寝ましょうか?」

「うん。」


二人で隼人の寝室に行き、ベットに横になる。


すぐに眠れることもなく、会話をしながら寝りにつくことにした。


「明日はお買い物です。高木さんは何か買ったりするのですか?」

「いや。特に今はないかな?」

「そうですか。」

「でも、もし白崎さんが良かったら明日の夜は外食しない?白崎さんのご飯もおいしいけどたまにね?」

「ふふっ。いいんですね?本当に明日は楽しみですね♪」

「…」

「高木さん?あっ、寝てしまいましたね」

「私も眠くなってきたので寝ますね?おやすみなさい。」




真白は、隼人に握られてる方に体を向けて、隼人の腕を抱く形で眠りに落ちた。




いつも通り、窓から差し込む日の光が顔にあたり目を覚ます。


朝かぁ…

まだ少し眠いな。

隣で寝ている白崎さんを起こさないように、そっと寝室から出る。

リビングでコーヒーを入れて、新聞を取りに行く。

この朝の、ゆったり時間が好きなんだ。


少しすると、白崎さんが眠そうに目を擦りながら起きて来た。


「おはよ。」

「おはようございます。」

「カフェオレ用意しておくから、顔洗ってきたら?」

「ふぁい。そうします…」



今日は、ゆっくり登校できそうだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る