美しい、ひたすらに美しい。

この一作だけでは、魅力を味わいきれません。
ぜひ、すべての短編をお読みください。
心の奥底に開く、シュールでアンバランスな世界観。
ひとつひとつ読み重ねるごとに、
不思議、不完全、不安定、不条理、不確定、不自然、不自由、不穏、不浄、不貞、不在、不易……
あまたの“不”を充満した耽美の情景が拡がります。
だれかとだれかの出逢い、あるいは別れ。
そこに、ゆらめき続ける美学。
読み手を陶然とさせる筆力のすばらしさ。
ただ溺れるのみです。