憧れとしての制服に、手を伸ばす

人生のどん底に叩きつけられ、身動きも何もできなくなってしまった主人公のもとに姿をあらわす、不思議な「女子高生」。なれなかった自分、憧れの存在としての「女子高生」は、現実的な助けにはならないとしても、いつも寄り添い、心の支えになってくれます。
だからこそ、最後のシーンで主人公が主導権を取り戻すとき、物語に転換が暗示され、感動を生みます。傷ついた女の子の一人称として展開される文体が、深く心に染み入ります。とても切ない短編です。

夜明けの海岸、波の音、シーンとしてすごくいいです。