たったひとつの想いを、溢れるほどの描写で彩る

とても個人的な感想になりますが、私がひかれるのは儚くて綺麗なもの。というより、儚くて壊れそうなほどに繊細なものを綺麗だと感じ、ひかれるということなのかもしれません。それは例えば曲でもそうですし、物語でも。突き詰めていけば一番儚くて綺麗だと思うものは心だと思っています。人を想うときに“好きだ”“愛している”と言葉にすればたった一言を、五感で感じる綺麗な描写で綴られたこの物語はとても魅力的です。同性だからという理由ですんなりとは認められない自分の気持ちも、理性を脅かすほどの先輩の魅力も、それでもひかれていく想いを美しく彩る描写がとても素敵でした。
ジャンルで言うならば百合ですが、枠に囚われず色んな人に読んでほしい、とても爽やかで甘酸っぱい恋のお話です。
私の心の本棚に、またひとつ素敵な小説が増えました。

その他のおすすめレビュー

@lonesone-alkalemiaさんの他のおすすめレビュー19