第2話

どこまで話したっけ?


・・・そうそう、「見方」についてだ。


僕がまだ「ぼく」のころの話。その話の中では僕は幼稚園の年少で、虫をこの上なく愛していた。将来は昆虫博士になりたいと思うくらいだった。毎日幼稚園で虫を見つけては、じーっと眺めて、家に帰って虫を見つけては、じーっと眺め、どこにいても彼らを見付ける度にじーっと眺めていた。


特に好きだったのはアリで、ぼくは彼らの行く末をこれまたじーっと眺めていた。じーっと見過ぎて、たびたび目のピントが合わなくなったりした。


経験あるかな?最近ではこの歳だから見たくてもアリを観察することなんてできやしないけど、家でひとりで映画鑑賞しているとたまに今言ったピントのズレが起きることがある。


病気かな?・・・とりあえずぼくはアリが好きで、ひたすらじーっと眺めていたんだ。彼らは何を考えて、何の名のもとに列を成して、何のために穴に入っていくんだろう?


ぼくはそんなことをこれまたじーっと考えていた。未だにわからないことの一つである。 


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