第9変 魔法少女?!アスカ参上!

 アスカが出ていき、薄暗い真夜中にマキナは行動を開始した。

 

 「(カズミ…やっぱり、アスカを置いて出ていくの?)」


 「そうです…」


 「(…カズミがそう決めたなら…)」


 カズミは、身支度を済まし、置き手紙をしてドアを開けようとした。


 「…マキナ…やっぱりアスカを連れていくしかないのかもしれない…」


 「(??)」


 マキナは、急なカズミの変化についていけなかったが、当のカズミは一度きびすを返し、置き手紙を回収してから普通にドアを開けた。


 「フッフー!カズミくんは、こんな夜中にどこに行くのかなぁ?」


 そこには、腕を組み、小さな杖を持ちフードをかぶり、リュックを背負ったアスカがいた。


 「…驚きました…アスカ…でも、僕はもう行くよ…アスカは、お父さんもいるだろ?」


 カズミは、アスカの痛いところを突く。


 「お父さんには、村長ヨロシクって書いた置き手紙を置いてきた!問題なし!」


 「今から行かなきゃ駄目なんだ。それから、アスカに僕が経験したことを言いたくない!」


 アスカは、呆れた顔をして鼻で笑う。


 「フッフー!そんなこと知らん!私には関係ない!」


 カズミは引かない。


 「本当にこの村を捨てることになるんだぞ!そして、世界のお尋ね者の仲間入りだ!」


 アスカは、また鼻で笑う。


 「フッフー!カズミが帰って来ない村なら捨てる!世界のお尋ね者には、三人でなる!」


 カズミは、笑いそうなのを堪えて言う。


 「…最後に聞いても言いかな?…何時間待ってくれたの?」


 アスカは、息を一度吸い、胸を揺らしながら言う。


 「十年だ!」


 「…わかった…ハハハハ…アスカにはやっぱり勝てないや…フフ…」


 カズミは、少しだけ目を潤ませながら笑った。マキナは、カズミとアスカのやり取りで嬉しいと思いながら、少しだけ寂しさを感じていた。


 「じゃあ、アスカも行こう!時間はかかるけど、できるだけ安全なやり方で行くよ」


 カズミが前に進みかけると…おもむろに、アスカは杖を上に振りかざす…そして、被ったフードとリュックごと脱ぎ捨て…


 「メイクアァップ!魔法少女!アスカ!見参!ピッキーン!」


 アスカは、そう言いながら、短い杖を振り回しながら決めッキメのポーズでウインクをしてきた。


 さすがのカズミも予想の斜め上過ぎて何も言えなくなっていた。その心の隙から、マキナの声が漏れる。


 「…カッコいい…」


 「お!マキナちゃん分かってるー!魔法使えるって分かってから日夜練習してたのだー!フッフー!」


 アスカは、鼻息荒く自慢してきたが、カズミは何も言えなかった。代わりにマキナが興奮しながら言う。


 「私もメイクアップしたい!」


 カズミは、大きく息を吐き、下を向きアスカに見られないように笑顔を作り、元に戻ったことを確認してから顔を挙げた。


 「やっぱりアスカには勝てないや。では、コクウおじさんの所に行こうか…フフ…」


 アスカは、驚いた。


 「え?もう村を出るんじゃないの?」


 カズミは、笑いながら答えた。


 「計画変更だよ…プ…アスカとマキナの二人を連れていく計画にしたからね…フフ…アスカは、行く前に知っておかないと行けないことがあるんだ」


 アスカは、キメポーズをやめてフードとリュックについた砂を払いながら聞いてきた。


 「私が知っとかなきゃならないことがあるの?お父さんから?」


 「うん、たぶんだけどコクウおじさんは、アスカの母さんについて…いや、アスカについて、言ってないことがあるはずだよ」


 カズミは、アスカに近づき、マキナの幼い顔でできるだけまじめな顔をして続けた。


 「アスカは、出て行く前に両親について、それから、自分について知っておく必要がある…」



☆☆☆次回予告☆☆☆

 アスカは、魔法少女(25)になった。マキナ(50)は、それに憧れた…

 さて、アスカはコクウから何を聞くのか?カズミが気づいたアスカとアスカの母の秘密とは?マキナは、どうなる?


次回第10変 アスカの秘密、マキナの事実

catch you later!また見てね!





 

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にせゆり地獄変 拳パンチ! @kobushipanchi

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