第6話

ボクには、とんと、わからない。


ボクは、ずっと、眺めてる。


この教室に入って来る、人たちのことを、ずーっと。


誰も、ボクに、気づかない。


ずーっと・・・・・・。


「ありがとう」が、いつからボクのパワーに、なっていたのか。


そのことすら、覚えてなくて。


でも。


人たちが、この教室に入って、授業を、いくつもいくつも経てゆく。


その「ありがとう」の、まだらもようになった溶液。


教室は、ビーカーのようになって、人たちを守り、ささえてる。


化学反応。


ボクは、見ているだけだけれども。


もしかしたら、「ボクが見ている」このことも。


どこかで、人たちに係わりが、あるのだろうか、と思うこともあるのだよ。


でも、ボクは、もう眠くなってきた。寝るね。おやすみ・・・・・・。




<了>

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『①/⓷ らくがき★ビーカー』 ぽふ、 @a-piece-of-harmony

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