娘(天使)さえいれば全く問題なし! ~でも最近、シングルファザーをやっている俺の周りの女性たちの様子が何だかおかしい~

お仕事辞めたい...

1話 愛しき娘『みっちゃん』


 「パパー!パパ、パパ、パパー!」

 「みっちゃーーーーーーん!」


 あぁ、仕事で疲れてしまった俺の体力。この一瞬で全回復。

 可愛すぎるぜ。俺のマイスイートエンジェル。


 この保育園のお迎えの時間は俺、進藤大助27歳にとって毎日の中の一大イベント。

 いや、超一大イベントだ。


 「パパー、きょうもおしごとごくろうさま!えらい!パパえらい!」


 そして今、満面の笑みを浮かべながら俺の頭を優しく撫でてくれる天使はみっちゃん5歳。

 ツーサイドアップのツインテールが似合う、ぷりぷりとした可愛い可愛い俺の娘だ。 


 「あー。ウルトラハイパー天国。ずっとこの時間が続けばいいのに。」

 「ん? うるとらはいぱーてんごく?」


 ああ。ウルトラスーパーハイパー天国だ。

 

 「ふふ、進藤さん。心の声がまた漏れてしまってますよ。みっちゃんがまた首をかしげちゃってます」

 「あっ、すみません。へへ。ついつい娘の可愛さに」

 

 いけない。いけない。またトリップしてしまっていたか。

 今日も先生に笑われてしまったぜ。でも仕方がない。

 わが娘、みっちゃんの可愛さにはどう頑張っても抗えないからな。


 とりあえず、みっちゃんの首をかしげさせてしまったお詫びに、今度は俺が彼女の頭を優しく撫でる番だ。


 「へへへ、パパのなでなでだ」


 あぁ、その表情可愛すぎるぜ。それにそのほっぺの触り心地も最高だ。

 ぷにぷにぷにぷに。


 「でも本当に進藤さんは良いパパさんですね。今日のお弁当もすごかったです。あんな可愛いキャラ弁をつくれるなんて尊敬しちゃいます。今朝もすごく早起きしたんじゃないですか?」

 「ん? ああ、5時くらいですかね」


 まぁ、もう早起きには慣れたし。

 この可愛いみっちゃんを喜ばせる為にすることだ。全く苦にはならない。


 「もう本当にすごいですね。みっちゃんもすごく喜んでましたし。最高のパパさんです」


 「いや~そうですかね~。まぁそう言っていただけると俺もかなり嬉しいですけど。別に当たり前のことをしてるだけですよ」

 

 本当に俺はみっちゃんの親として当たり前のことをしているだけ。

 先生はいつもいつも大げさだ。

 最近の彼女は何故か、何かと俺の事を褒めてくれる気がする。


 「ふふ、そういうところ。すごくかっこいいです。さすがです」


 まただ。まぁ悪い気は全くしないけど。先生ってかなり可愛いし。


 「へへ、俺を褒めても何もでませんよ。杉野先生」

 「ふふ、思っていることを素直に口にしただけですよ」 


 「あ、ありがとうございます」


 まぁ、お世辞でも可愛い女性に褒められて嫌な気持ちはしないし。素直に賞賛の言葉として受け取っておこう。


 とりあえず、この杉野先生は確か俺よりも2つくらい歳下のみっちゃんの保育園の先生。

 何と言うか、癒し系で喋っていると心が落ち着く可愛い先生だ。


 そういうところが園児たちにも好かれているのだろうか。みっちゃんもかなり彼女に懐いているみたいだし、とにかく今後の為にもひたすら愛想はよくしておこうと思う。


 「うんうん。パパはすごくかっこいい!すぎのせんせーはやっぱりよくわかってる。えらい!」

 「ほら。みっちゃんもこう言ってますし、進藤さんはやっぱりかっこいいですよ」

 「パパかっこいいー!」


 「........。」


 「あれ? またパパがかたまっちゃった。」

 「ふふ、固まっちゃったねー」


 そうかパパはかっこいいか。みっちゃん。

 冗談抜きで、その言葉だけでパパは不眠不休で一週間ぐらいは働けそうだ。

 あぁ、パパかっこいい。何ていい響きだ。幸せ.......。


 見てるか泰造。

 お前の娘はとても良い子に育っているぞ。本当にとても良い子に。


 「そうだ。すぎのせんせー、パパがかれしはどう?せんせーはかれしがいないんだよね。」


 ん? かれし?

 

 「み、みっちゃん?」


 どういうことだ。


 か、彼氏なんて言葉を一体どこで覚えたんだ。

 さすがにいないよな。ご、5歳だもんな。もしそうならパパは絶対許さないよ。絶対。

 え、真剣にいないよね?


 「な、き、急に何を言ってるのみっちゃん。そ、それは何て言うか、う、嬉しい話だけど、その、あの、えと」


 って、気が付いたら何かめっちゃあたふたしてる......。杉野先生。

 

 あぁ.......そうか。やっぱり先生は優しいな。

 みっちゃんの今の言葉に、俺達を傷つけない様、言葉を選んでくれようとしているのだろう。本当に良い先生だ。


 まぁ、そりゃそうだ。子持ちのシングルファザーと付き合おうと思う独身女性なんて早々いない。正直俺はいないと思って生きている。

 

 それに俺はみっちゃんさえいれば幸せだしな。そういう欲求はもはやないに等しい。だから問題ない。


 「ははっ、みっちゃん。こんなに可愛い杉野先生に彼氏がいないわけないだろ。先生をあんまりからかっては駄目だぞ。ほんとすみません。先生」

 

 本当に困らせてしまってすんません。先生。

 でも可愛いみっちゃんの言ったことなんで許してあげてくだせい。


 「え、あ、いえ、全然。そ、そうですか。か、かわいい......」


 ん? どうしたんだろ先生。急に下を向いてブツブツと。


 「えー。なーんだ。せんせーかれしいたんだー。ざんねーん」

 「ははっ、そうだな。ざんねんだなー。じゃあそろそろ帰ろうかみっちゃん」


 うん。晩御飯の買いだしもしないとだしな。


 「うん。わかった!せんせい。さよーなら」

 「あ、うん。みっちゃん。さよーなら」


 「では先生。今日もありがとうございました。お疲れ様です」

 「あ、お疲れさまです」


 「よし、今日の晩御飯は何にすっかなー」


 「あ、ちょっと待ってください」

 「へ?」


 そんなことを考えていると、お別れの挨拶をしたばかりだと言うのに何故か俺は後ろからまた杉野先生に引き留められる。


 「ん? どうしました?」

 「わ、私彼氏いませんので」


 「ん?」

 「だ、だから私、彼氏いませんので」


 それは意外だけど、急に何だ......。


 あ......そういうことか。

 ふっ、俺に男を紹介して欲しいということか。


 「オッケーです。任せておいてください。今度誰か紹介しますよ」

 いつもお世話になってるし後輩でも紹介してやろう。

 あいつとかいいかもな。ってか杉野先生なら俺が紹介しなくても引く手数多だと思うんだけどな。何でだろう。保育士さんってあんま出会いねーのかな?

 まぁいっか。


 「え?紹介?」


 「パパー、きょうのごはんなにー?」

 「みっちゃんは何がいい?」


 ふ、みっちゃんの意識はもう完全に晩ごはんみたいだな。

 そういうところも最高に可愛いぜ。そうそう。みっちゃんに彼氏なんて言葉はまだ早い。


 「んーっとねー。そうだ。みっちゃんはんばーぐ食べたい!」


 「おっしゃ。じゃあ今日はハンバーグだ。このまま買い物に行こうか、みっちゃん!」

 「やったー。パパとおかいものだー。おかいものー!」


 「んじゃ、先生また明日も宜しくお願いしまーす」

 「おねがいしまーす!」


 よし、今日は最高のハンバーグを作るぜ!


 「みっちゃんとハンバーグ。みっちゃんとハンバーグ」

 「ふふっ、パパとはんばーぐ!パパとはんばーぐ!」

 

 

 ★とりあえずこの物語はこの未婚のシングルファザーである主人公、進藤大助が巻き起こすハーレムラブコメディである。

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娘(天使)さえいれば全く問題なし! ~でも最近、シングルファザーをやっている俺の周りの女性たちの様子が何だかおかしい~ お仕事辞めたい... @jetton

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