リュウくんの家に木がたくさん生えてくるお話

☆☆☆

ある朝、リュウくんが目を覚ますと、お家のお庭に木がたくさん生えて、森ができていました。

リュウくんはさっそく、探検に出かけました。

木の根を踏み越え、草むらの中を歩いていくと、ぽっかりと広場が現れました。たくさんの動物が集まっています。

「何やってるの?」

リュウくんが近くのクマさんに話しかけると、「コンサートだよ!」と答が返ってきました。見ると、真ん中に平べったい大きな岩があって、動物たちが歌ったり、楽器を奏でたりしています。

クマさんが「こちらにどうぞ」と言ってくれたので、リュウくんはクマさんのあぐらの上に座らせてもらいました。

狼さんの力強い遠吠え。

野ネズミさんの可愛い合唱。

タヌキさんが鼓を打つと、みんなが踊り出しました。リュウくんも一緒に踊ります。

最後は、カナリヤさんの子守唄。

キレイな声にうっとりしていたリュウくんは、いつのまにか、こっくりこっくり。

クマさんがリュウくんを抱き上げて、お家に送ってくれました。

「まぁ、ありがとうございます」

お母さんがリュウくんを受けとると、クマさんは「また遊びにおいで」と森へ帰っていきました。

「ゆっくり寝てね」

お母さんはリュウくんを布団に寝かせました。すっかり夢の中のリュウくんは、何やら楽しそうに微笑んでいました。

おしまい。

☆☆☆


気づくと、お母さんの目が閉じています。

「ねぇ、お話して!」

「*☆@△&……」

ほっぺをペチペチしても、お母さんは夢の中。

仕方ないなぁ。

リュウくんは布団の中で、お母さんにぴったりくっつきます。

もし、お家に木が生えてきたら、何をしようかなぁ?

しばらくクスクス笑っていたリュウくんですが、そのうちだんだんお目めが閉じて、可愛い寝息が聞こえてきました。

お月さまが、リュウくんに笑いかけます。

おやすみなさい。また明日。


☆☆☆★★★

リュウくんは、今ではすっかりお兄さんになりました。

もう、ねんねのお話をおねだりすることもありません。そんな日々があったなんて、忘れてしまったことでしょう。

でも、お母さんは、今でも時々考えることがあります。

あの頃は疲れはてていて(今もだけど)、大したオチもない話しかできなかったけど。「早く寝なさい!」って怒っちゃったけど。

もしもお家に木が生えてきたら、どうするかなぁ?

どんなお話だったら、リュウくんは喜んでくれたかなぁって。


ほんとに、おしまい。


(^^)/~~~

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ねんねのお話 ~リュウくんの家に木が生えてきたら~ プラナリア @planaria

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