第49話 真太郎とジョン

「おはようきよ

「おはよう桜子、ヒロ」


真太郎しんたろうはゲーム同好会か?」

「そうなの、すっかりジョンと仲良しよ。格闘遊戯と海釣りの話で毎日盛り上がっているわ」


 実は真太郎しんたろうはカードゲームの格闘遊戯で、かなりの実力なのだ。大抵のゲームでは弟たちを泣かせないよう手を抜くが、格闘遊戯だけは弟たちに勝ちを譲ったことはない。もちろん弟たちは負ける度にギャン泣きだ。


「大会の団体戦でジョンと真太郎は同じチームになったと聞いたぞ」

「そうなの、同好会でいろいろ組み合わせを試してみたら相性バッチリだって。優勝を狙うって意気込んでいるわ」



「おはよう!」

真太郎しんたろうとジョンが現れた。


「おはよう真太郎しんたろう、ジョン」

「朝から熱心だな大会はまだ先だろう?」

「楽しいからな!」

「ジョンのアドバイスでゲーム同好会のチーム分けをやり直したり、チームの戦略を決めてみたら全体的にすごく強くなって面白いんだ。今週末は家で合宿だ」


「決まったの?」

合宿の話はきよも事前に聞いていたらしい。

「昼間はシンにサーフィンを教えてもらうぞ」

「俺はジョンがサーフィンをやったことないって意外だったな」

「同じ年齢の友達がいないから俺に遊びを教えてくれるのは父さんなんだ。父さんが知らない遊びはやったこと無いな」

「まだ暑いから、しばらくは楽しめるぞ」

「いいな!」

ジョンが嬉しそうだ。


「どこの海に行くの?」

「イソコ(磯の浦)だ」

 イソコは奈良からも遠くない。距離で週末のレジャーに丁度いい。



「ジョンは桜子たちとB級グルメも楽しんでいるんだって?」

「そうよ!私のオススメがたくさんあるの。外国の方は食に対して保守的な傾向があるけどジョンは何でも美味しく召し上がってくださるから楽しいわ」

「アニメで見て憧れていたんだよ」

「ジョンは弁当にも大袈裟に感激していたよな」

「大袈裟じゃないって!沖田さんのお弁当は芸術だよ」

「私はジョンが作ってくださったアメリカのランチの定番、PBJに感激したわ」

桜子が頬を桜色にして嬉しそうだ。


「PBJ?」

 きよ真太郎しんたろうはPBJが何なのか分からないようだ。


「PBJはPeanut Butter and Jelly Sandwich (ピーナッツバター・アンド・ジェリー・サンドイッチ)だ。略してPBJな!人によっては、PB&Jとも言う」

「サンドイッチなの?」


「ピーナッツバターとジャムを挟んだサンドイッチだ。PBJのジェリーは日本のジャムと少し違うかも。ペクチン効果でゼリーみたいなテクスチャで、うちではイチゴジャムが定番なんだけどジャムはブルーベリーでもマーマレードでもラズベリーでも好きなものでいい」

「美味しそうね」

「うちの弟たちが絶対に好きなやつだ」


「じゃあシンの弟達に俺が作ってやる!」

「冬休みが楽しみだな」

 冬休みは常陸領の真太郎しんたろうの実家に招待されていてジョンは楽しみにしている。


 真太郎しんたろうの弟たちのパワフルさを心配するヒロだったが、アメリカで4人の弟達と暮らしてきたジョンに怖いものなど無かった。

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